快進撃の「HANA」、時代を味方につけたガールズグループの真価。異例のオーディションから誕生、“口パクなし”、実力が示す存在感
いうまでもなく、タイトルの「ROSE」、つまり薔薇とは、痛みを伴うトゲを心の内に抱えながら、いまはそれをも愛して美しく咲きほころうとするメンバーそれぞれのことだろう。メッセージ性とエンタメ性が高い水準で拮抗した出色のMVである。
こうしたHANAのメンバーの姿は、同じ経験をしてきたプロデューサー・ちゃんみな自身の姿を彷彿とさせる。「【No No Girls】を通して自分のこれまでの軌跡とも向き合って報われた気持ちにもなって、新しいエネルギーが生まれてきている」(『Billboard Japan』インタビュー)とちゃんみなは語る。
なぜ"口パク"をしないのか
音楽番組や音楽フェスでHANAが見せるパフォーマンスにも、観客やSNSから驚嘆の声が集まっている。歌唱力の高さやダンスの鋭い切れ味なども当然あるが、ひとつ驚きの理由となっているのが、口パクをしないことである。HANAは激しいダンスを持ち味とするグループだが、パフォーマンス時に決して口パクをしない。
これは、プロデューサーのちゃんみなが決めた方針である。「ノノガ」の時点ですでに、デビューしても「絶対に口パクはさせない」と宣言していた。

それは、「あなたの声と人生を聞かせてください」という言葉を掲げて始まった「ノノガ」のコンセプトから必然的に導き出されたものだろう。歌声にはその人がどのような人生を送ってきたかという人間性がおのずとにじみ出る。
その意味で、歌詞とは別に声そのものの力がもたらす感動がある。だから、ちゃんみなにとって、生の歌声でパフォーマンスするのは絶対に譲れない最低ラインということになるのだろう。
そして実際、多くのファンや視聴者がHANAのパフォーマンスを見て感嘆する。どんなに激しく動くダンスをしながらでも歌が乱れない。
むろん踊りながら歌うことは難しい。だがこれについてもちゃんみなは自分自身の経験に照らしながら、技術を磨くことによってどのようなダンスであっても歌いながら踊ることはできるとアドバイスする。
近年は、K-POPの影響もあって歌やダンスのスキルが重視される傾向がある。だがちゃんみなに言わせれば、それは個性が不要ということではない。むしろその人の個性を本当の意味で自由に表現するためにも絶対的にスキルが必要なのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら