快進撃の「HANA」、時代を味方につけたガールズグループの真価。異例のオーディションから誕生、“口パクなし”、実力が示す存在感

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さらに『with MUSIC』(日本テレビ系)、『CDTVライブ!ライブ!』(TBSテレビ系)、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)など主要音楽番組にも相次いで出演。新人らしからぬ高水準のパフォーマンスにSNSなどでは驚きの声が多数あがっている。

また各音楽フェスにも出演。台湾で開催された海外フェスのステージにも立った。

HANAが放つ強いメッセージ

まだメジャーデビュー間もないHANAが旋風を巻き起こしているのがわかっていただけるだろう。今年の音楽シーンを語るうえで欠かせない一組になるのはおそらく間違いない。

だが本当の意味でのHANAのすごさは、配信の売り上げやMVの再生回数など記録面だけでは伝わりにくい。彼女たちは、もっと大きな時代のうねりを体現している存在だと思えるからだ。

グループや楽曲のコンセプト、そして発信されるメッセージが多くの人たちに“刺さって”いる。そこが従来のガールズグループとはひと味もふた味も違う印象だ。

その原点は、「No No Girls」というオーディションの新しさにある。

このオーディションの募集時には、「身長、体重、年齢はいりません」という言葉があった。アイドルやガールズグループのオーディションでは、明記されるかどうかは別として、ほとんどの場合こうした要素が選考条件に入ってくる。

そして、実力とは無関係にその部分で落とされてしまうこともある。「No」を突きつけられてしまうわけである。

ちゃんみな自身、過去にガールズグループのオーディションを何度も受けて落ちた経験を持つ。そこでルッキズムの理不尽さを感じたことが、「ノノガ」を開催した動機のひとつになっているのが見て取れる。

またオーディションの候補者それぞれにも、体形のことを言われたり、アイドルの一定の型に合わせることを求められたりするなど、自らを否定されたと感じる体験があった。

だから「ノノガ」を経て結成されたHANAが歌う楽曲は、周囲から植えつけられ、自分自身もそう思い込んでしまっていたネガティブな感情からいかにして脱し、ありのままの自分を肯定するかというメッセージが強く感じられるものになっている。

プレデビュー曲「Drop」のMVは、地下にある駅の電車のホームでの撮影。それぞれ個性と強みの異なるメンバーたちが経験してきたこれまでの苦悩や努力、そして成長をイメージ化した映像が登場し、最後はメンバー全員が固い決意を感じさせる表情でエレベーターを降り、地上に出ていく姿を暗示して終わる。

メジャーデビュー曲「ROSE」のMVは、その続編的な意味合いを持つ。こちらは、世間が押しつける常識や自分自身の葛藤と対峙し、闘うメンバーの姿がストーリー仕立てで描かれる。

ぬかるんだ地面のうえで、白い衣装や体が汚れることなど気にもかけず、力強く歌い踊るメンバーの姿が印象的だ。その場面に「醜い世界でも 咲いた 花 泥だらけでも」というサビの歌声が重なる。

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