農業にも、ドローンやセンサーの時代が来た

企業・自治体・大学がタッグ、最新IT農業事情

わたなべ・けいいち●1983年、九州大農学部農芸化学科博士課程修了。その後、西ドイツのマックス・プランク分子遺伝学研究所に2年間留学。九州大農学部の助手を経て、88年に佐賀大農学部助教授、2002年に教授。13年から学部長を務める。専門は生化学。福岡市出身。59歳。

――IT農業とは、具体的にどのようなものか。

私たちが目指しているのは、オランダで発展しているようなハウス内の環境を人為的に管理するスマート農業とは若干違う。今、露地でやっている農業をIT技術で稼げる農業にする試みだ。

ドローンや各種センサー、ネットワークを使ってビッグデータを収集、解析し、より効率的、発展的な農業につなげる。たとえば、センサーなどで病変をいち早く検知して対応することで、農薬が少ない安全な農産物ができる。

また、人と人を結ぶのも重要。ベテラン農業者と初心者、生産者と消費者をつなぐことで、農業技術のスムーズな移転や消費動向に応じた生産を実現できると考えている。

楽しく、かっこよく、稼げるように

――IT農業で農家が受けるメリットは。

省力化や効率化はもちろんだが、データの活用で減農薬・無農薬栽培を実現でき、消費者に安心安全な農作物を届けられる。これは高付加価値化につながり、「稼げる農業」となる。また、ネットワークを介して消費者とつながることで、消費者が喜ぶ物を作るようになる。将来的には、海外にも安心安全な農作物を販売できるだろう。

――実現に向け、今後の課題は。

ウエアラブル端末の使い勝手を今よりもよくするとか、収集したデータの解析技法を開発する必要はあるが、技術的課題はやっていくうちに解決されるし、特に大きな障害のようなものはない。

IT農業を普及させるための志ある農家も多くいるし、JAなど現場の協力も受けられる予定だ。高齢者への普及についても、便利さを知ってもらえば受け入れてもらえると思うし、心配はしていない。

――今後の抱負を。

IT技術を使うことで、農業が楽しく、かっこよく、稼げるようになっていく。その結果、若者が新規参入したり、退職した人が第二の人生に農業を選ぶようになったりして、ITがそうした人たちをサポートする。佐賀県だけでなく、日本全体に広がっていけばいい。

国内だけでなく、アジアやアフリカなどに技術を輸出することで、世界の人たちの豊かな生活にもつなげていきたい。IT農業はそういったことに適した技術で、まさにそんな時代になってきた。

 

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