一時は"反安倍"投稿の女性を擁立する動きも… 自民党「参院東京選挙区の候補者選び」がこんなにも混迷を極めるウラ事情

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故・安倍元首相の最側近の1人として都連で権勢を振るった萩生田氏は、昨年の都議補選で大敗(9の選挙区で補選が行われたが、自民党は板橋区選挙区と府中市選挙区のみで当選)した責任をとって都連会長を辞任し、そのポストを井上信治氏に譲った。しかし、派閥のパーティー券をめぐる問題による1年間の党員資格停止処分も解け、虎視眈々と都連会長への復帰を画策しているという。

そうはさせまいという勢力が、渡部カンコロンゴ氏の擁立に動いたとみられている。都連関係者は「木原誠二自民党選対委員長が『俺が保証する』と押し込んだようだ」と話す。自民党と渡部カンコロンゴ氏との接点は「G1サミット」で、静岡県出身の岸田派の自民党議員と知己になり、その伝手で木原氏とつながったという。

しかし「擁立調整」の報道が出た途端、自民党党内はざわめいた。山田宏参院議員は「なぜこの方が自民党公認なのか」とXにポスト。有村治子参院議員に至っては「私たちの多くが今もなお、誇りに想い、敬意を抱く安倍元総理を公然と侮辱する人を公認候補にするほど、自民党は落ちぶれていませんし、保守の矜持を捨ててはいないはずです」とXで激しく批判した。

自民党の松山政司参院幹事長も15日の会見で、「こういう方が上がってきているのを疑問に感じている」と述べた。松山氏は木原氏と同じく旧岸田派の重鎮だが、夏の参院選への影響を考えれば認められないということだろう。何よりも松山氏自身が、次期参院選で改選を迎える。

まだ確定しない「2人目の候補者」

もっとも、自民党東京都連にとって渡部カンコロンゴ氏が「第1志望の候補」だったわけではない。前述した菊川氏などのほか、菅野志桜里(旧姓山尾)氏にも声をかけたが、「菅野氏は『自民党と政治信条が違う』と即断ってきた」(自民党都連関係者)と選考は難航した。

そして、渡部カンコロンゴ氏の擁立がなくなった今、自民党東京都連が恐々としているのが「補償問題」だという。出馬に向けて渡部カンコロンゴ氏は、仕事を整理していたようだ。

一方で、3年前の参院選で自民党が東京都選挙区からの出馬を打診したが、それを断ったNHKの牛田氏が国民民主党から出るとの噂もある。同局の討論番組「日曜討論」でキャスターを務める牛田氏は今回は乗り気だが、看板番組のキャスターの政界転身に面目を潰されたNHKは困惑しているという。

石破政権という少数与党で、迷走と疾走を重ねる自民党。国民民主党は飛ぶ鳥を落とす勢いだが、その勢いが続く保証はない。次期参院選で政界は大きく塗り替えられるのか、それとも……。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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