一時は"反安倍"投稿の女性を擁立する動きも… 自民党「参院東京選挙区の候補者選び」がこんなにも混迷を極めるウラ事情
自民党が擁立する1人目は武見敬三元厚労相。そして、昨年10月の衆院選で東京7区に転出した丸川珠代元オリンピック担当相に代わって、石原伸晃氏らが公募に応じた。
1990年の衆院選で初当選した石原氏は、芥川賞作家で東京都知事などを務めた故・石原慎太郎氏を父に持ち、圧倒的知名度で10期当選し続けたが、2021年の衆院選で立憲民主党の吉田晴美氏に惨敗。東京8区から身を引いた。
こうした経緯から石原氏には「すでに過去の人」というイメージがあるうえ、同じ慶應義塾大学出身の武見氏と票田が重なる。「武見・石原では共倒れだ」との声が上がり、石原氏の名前は候補から消えたようだ。
宙に浮いた「3つ目の枠」が焦点に
そもそも2人目の候補には、新規の票の開拓が求められる。2022年の参院選で生稲晃子氏が擁立されたのは、現職の朝日健太郎氏と異なり、まずは女性である点、そして元タレントという知名度が期待されたためだった。
とはいえ、生稲氏は当初から自民党都連の本命だったわけではなく、国際政治学者の三浦瑠麗氏やNHKアナウンサーの牛田茉友氏などの名前が上位にのぼっていた。三浦氏には当時の夫の太陽光発電事業に絡む金銭事件がささやかれていたため、擁立話は流れている。
生稲氏は若いころは「おニャン子クラブ」に所属してアイドルとして活動していたが、後に心理カウンセラーとして活躍し、認知行動療法士の資格も取得。「働き方改革実現会議」の委員にも任命された。
その生稲氏に白羽の矢を立てたのは、当時の都連会長だった萩生田光一氏で、政界を引退する中川雅治氏の後継とした。最盛期ほど露出が多くなくなった生稲氏のために、八王子市内にある旧統一教会の教団施設にも連れていった。生稲氏は61万9792票を獲得して当選。安倍派に入会した。
2007年の参議院選では、丸川氏が「知名度枠」だった。東京都連の関係者は「われわれの本命は保坂三蔵さんで、丸川さんは党本部の一本釣りだった」と明かす。丸川氏は期日前投票に行ったところ、居住要件を満たさずに投票できなかったなどハプニングも多かったが、69万1367票を獲得して当選。65万1484票の保坂氏は次点に泣いた。
このように自民党が参院東京都選挙区に擁立した候補は、基本的に「本命枠」と「知名度枠」があるが、これとは別に「安倍派枠」も存在する。3年前の参院選で当選した生稲氏は、中川氏の後釜として安倍派に入会したが、丸川氏が昨年10月に衆院に転出したことにより、次期参院東京都選挙区の「安倍派枠」は空いたままだ。
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