三重子さんの心の内はこうである。
〈収納に限りがあるマンション住まいだったら、私だって考える。でもうちは古いながらも一軒家。収納場所なんかいくらでもあるし、お気に入りのものを好きなように飾るスペースもある。好きなものに囲まれているから幸せだし、大事にしたいものがいっぱいあるから1人暮らしの寂しさもない〉

散らかって見えない「片付けの秘訣」
そんな思いを訴えるが、娘たちにはしょっちゅう、「お母さん、なんとかしてよね」「大事なものだけ残して、あとは処分して」と言われている。特に三女は介護士という仕事柄、親が残した大量のものや家具の後片づけに苦労している子世代をたくさん見てきている。
「だから、元気なうちにちゃんと整理してね、と帰ってくるたびに言われています。私もそんなに先は長くないのだから、私の思いだけで古いものを残したまま死んだら、娘たちに迷惑がかかる。そういうことを考えなくちゃいけない時期に来ているなって、頭ではわかっているんです」
しかし、いざ整理しようと決心すると、もう1人の自分が「いやいや、もうちょっと待って」とブレーキをかける。たとえばアルバム。これだけは残したいという写真をアルバムから剥がして1冊にまとめるというプランはあるけれど、実行できていない。


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