「アドブロックで稼ぐ企業」は許されるのか メディアに課せられる新たな重荷とは?

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アドブロック提供者が稼いでいることに対する批判の急先鋒が、インタラクティブ広告協会のCEOを務めるランダル・ローゼンバーグ氏だ。

オンライン広告における技術的標準規格を策定し、関連の規定を整備している。ローゼンバーグ氏は「道徳心に欠ける複数のテクノロジー企業が、広告費を自分の懐に収めようとしている」と非難していた。パブリッシャーは、広告による売り上げを取り戻したいという誘惑と、広告をブロックしている読者に与える影響の間で、バランスを取らなければいけない。

「いくつかのパブリッシャーが広告を押し付け、ユーザーエクスペリエンスを悪化させ、『アドブロックをインストールしよう』と思わせる結果を生む……。私はそれを恐れている」と、話すのは「ワシントンポスト」の販売運営・プロダクト戦略担当シニアディレクターを務めるジェフ・バーケット氏だ。

「あるパブリッシャーが、アドブロックを解除するテクノロジーを使おうと考えているとしよう。しかし、彼らは押し付けがましく不愉快な広告体験だと表明している読者に対し、(不愉快な広告を表示して)『ブロックするソフトウェアをインストールした方が良いですよ』と、推奨しているに等しい」。

「時間をかけて基準の策定に取り組む」

若い男性向けファッション誌を刊行するComplex Media社のシニアバイスプレジデント(プロダクト・ビジネス開発担当)スコット・チャーキン氏は、ユーザー体験を著しく損ねる広告を「ブンブンと唸る蜂の巣だ」と評している。一方で、チャーキン氏はオーディエンスの負担にならないような小さな割り当てスペースで、訴求力ある別の形での広告づくりが求められていると語っている。「新しい広告を構築するべきだ」。

パブリッシャーは、ユーザーに受け入れられる広告とは何なのかという疑問に答える必要性がある。それこそが、アドブロック騒動の全体的な課題だと、デジタル・コンテント・ネクストを含む、プレミアム媒体数社が指摘している。こうした考えに抵抗するパブリッシャーが出るのは間違いない。「われわれは時間をかけて基準の策定に取り組むだろう。だが、パブリッシャー各社の提案をつねに考慮する必要は残る」。

Lucia Moses(原文 / 訳:南如水)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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