「アドブロックで稼ぐ企業」は許されるのか メディアに課せられる新たな重荷とは?

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「どの広告をブロックしてほしくないかを、パブリッシャー自身に決めてもらう。それがわれわれの姿勢だ」と、ソースポイントの共同創業者でゼネラル・マネジャーを務めるマット・アドキッソン氏は語る。「われわれはパブリッシャーが何を配信してほしいか判断はしたくない。あくまでパブリッシャー側に配信する広告について判断を委ね、迷走する集団のなかから抜けだしてもらいたいだけだ」。

ソースポイント社の主張がまかり通れば、ほかよりも損をする広告が出てくるのは目に見えている。これについてアドキッソン氏は、フォーマットや掲載位置、コンテンツに基づいた一般化は難しいとしている。というのも、それぞれに良いものと悪いものがあるからだ。

「広告主とユーザーの間で、落とし所を探っている」

一方、ニューヨークのスタートアップ、シークレット・メディア社は、プレロール(動画再生前)広告に対するアドブロックを解除するツールを提供している。欧州のメディア企業15社とアメリカ企業10社がクライアントだ(社名は非公表)。過去1年で、少なくとも500のブランド企業による1500種類のキャンペーンにアドブロックを提供したという。

創業者でCEOのフレデリック・モンタグノン氏は、多くのバナー広告を見せつけられるよりは、動画広告を1つだけ視聴してもらう方が得策だと考えているため、スキップ可能な動画広告に力を注いでいる。ただし、ビデオ広告にはページのロード時間を増やす可能性が残る。それがまた、広告にうんざりした人たちにとって、アドブロックを利用しようと思わせる要因になっている。

カリフォルニア州カルバーシティに本社がある、創業3年目の第三者広告配信を行う企業アドサプライでは、影響の強い広告をブロック回避させる手立てをパブリッシャーに提供している。同社によると約20社が利用しているという。

インタースティシャル広告(ページ遷移間に全画面で表示される広告)や、ページ下部に繰り返し表示される広告は、ユーザーにとってもっとも邪魔なタイプだが、「掲出頻度(フリクエンシー)に上限を設け、音声やFlashを避けることで、バランスをとりたい」と、CEOのジャスティン・ブンネルは語った。「『気づいてほしい』という広告主の思いと、ユーザーの『うんざりする』という思いの間で、落とし所を探っている」。

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