中国企業の海外移転に「トランプ関税」が迫る再考 東南アジア進出にブレーキ、見極めに時間必要

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中国の製造業は対米輸出拠点の海外移転を進めてきたが、トランプ大統領の「相互関税」により目算が大きく狂った。写真はメキシコの中国企業向け工業団地(華富山工業園のウェブサイトより)

アメリカのドナルド・トランプ大統領が全世界を対象に打ち出した「相互関税」が、グローバル化を進める中国の製造業に立地戦略の抜本的見直しを迫っている。

例えば、対米輸出拠点の移転先として中国企業の進出が相次いでいたベトナムには46%、カンボジアには49%の相互関税率が示された。これほど高い関税は自助努力で吸収するのも、取引価格に転嫁するのも困難だ。

財新記者の取材によれば、海外進出組の中でも工場を最近建設したばかりで、まだ投資の回収段階に至っていない企業への打撃がとりわけ大きい。

(訳注:記事原文が配信された後、トランプ政権は中国を除いて相互関税の適用を90日間停止したが、先行きは見通せない)

高すぎる不確実性

「輸出企業はみな呆然としている。しかも、現時点で取りうる対策はほとんどない」。業界団体の中国機電産品進出口商会の高士旺氏は、財新記者の取材にそうコメントした。

高氏によれば、今後の不確実性があまりにも高いゆえに、中国の輸出企業はトランプ政権が目指す“落とし所”や貿易相手国の対応がはっきりするまで、じっと様子見する以外に選択肢がないという。

ここ数年続いていた中国企業の東南アジアへの進出ブームは、相互関税の発表とともに一夜にして冷え込んだ。

「わが社は4月1日にベトナム工場の着工を予定していたが、“トランプ関税”が適用されれば投資の意味がなくなってしまう。これまでの計画はすべて見直さざるをえない」。広東省汕頭市の下着メーカーの担当者は、財新記者の取材にそう肩を落とした。

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