中国企業の海外移転に「トランプ関税」が迫る再考 東南アジア進出にブレーキ、見極めに時間必要

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もちろん、中国の輸出企業はトランプ関税への対応について社内で検討を重ねている。

前出の高氏によれば、中国と他国の相互関税の落差や、各国の生産コストに生じる変化、コスト上昇をどこまで価格に転嫁できるかなどが分析のポイントになるという。と同時に、輸出企業はアメリカと貿易相手国の交渉の行方にも目をこらしている。

相互関税をめぐるアメリカと貿易相手国の交渉の行方は極めて不透明だ。写真は中国の電子機器メーカーのベトナム工場(ハイフォン経済区管理委員会のウェブサイトより)

例えばベトナム政府は、アメリカ製品の輸入関税をゼロにする用意があると表明し、トランプ政権との交渉の早期決着を目指している。だが現実には、アメリカと各国が合意に至るまでどれだけ時間がかかるのか、落とし所はどこなのかは不透明極まりない。

資本や原産地の条件厳しく

ましてや、中国企業の海外工場がどのような扱いを受けるのか、現時点では判断のしようがない。「中国以外の国からの対米輸出は、工場の資本や支配株主の属性、部品や材料の原産地証明などの面で、いっそう条件が厳しくなる可能性がある」と、前出の高氏は予想する。

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そんな中、対米輸出拠点の移転先として優位性が増したとみられているのがラテンアメリカだ。貿易協定のUSMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)に加盟するメキシコは相互関税の対象から外れたほか、南アメリカの相互関税率は大部分の国が10%とされ、東南アジアに比べて大幅に低い。

とはいえ、ラテンアメリカの工業基盤は東南アジアに比べて貧弱であり、物流インフラも整っていない。熟練労働力も不足しており、中国の専門家からは「輸出加工拠点としてはあまり適さない」と指摘する声もある。

(財新記者:羅国平)
※原文の配信は4月9日

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