これは、初動における「怒る」の部分に大きな問題があります。しかし、怒るか、叱るか、褒めるか、これは非常に難しいことですよね。人間、やたらと褒めればいいかというと、そういうものでもありませんし、叱るときも、怒ることも、ときには必要なことでしょう。しかし、いつも怒られてばかりいたら、決して勉強には戻って来なくなる可能性が高くなることは間違いありません。そこで今回は「子どもを育むための、褒め、叱り、怒る」についてお話しましょう。
子どもが伸びる「話し方」
はじめに、次の会話をご覧ください。
もう、おわかりかもしれませんが、私は、褒めるのではなく、「承認」をしているのです。私が頻繁に使っている言葉は「よしOK!」「では次にいこう!」です。つまり、子どもの心理状態が、つねに前向きになり、なおかつ現状を「承認(=認める)」した言葉をかけてきました。
たいしてできてもいないのに、「それはすごいことだ」「よくできている!」ということは「ウソ」になりますし、励まそうとして、大げさに言っているということを子どもはすぐに見破ります。しかし、その「おおげさな表現」を稀に使うことがあります。これは世に言う“褒める”という行為ですが、それは次のような場面においてです。
子どもの意欲や現状の能力が極めて低く、マイナスからのスタートで自信がまったくない子がいる場合。簡単なレベルから解答させ、ひとつできれば、「OK、よくできている!」と繰り返し語り、ときに「よくできるな」「これができていれば大丈夫だ!」「これは普通なかなかできない」という表現も自然に入れて、繰り返しているうちに、やがて、「もしかしたら自分はよくできる人間(極端な場合は『天才』)ではないだろうか」と錯覚するようになります。
実際はひとつ前の学年の簡単な問題をやってもらっていて、それができているだけで、本格的にできるようになっているわけではありません。あくまでも一時的な「錯覚」なのですが、実はこの「錯覚」がやがて現実となり、できるようになっていくのですから不思議です。つまり、すぐに解けない問題が出てきても、「自分はできるはずという錯覚」に陥っているので、「できるに違いないという意識」で問題に当たっていき、解ける確率があがるということなのです。
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