地球温暖化が世界の金融システムを破壊する

イングランド銀行のカーニー総裁が警告

2012年10月31日、米国ニュージャージー州を襲ったハリケーンサンディによる被害のようす。英中銀の総裁のマーク・カーニー氏は気候変動がもたらす世界経済への影響を主張した (写真:Doug Mills/The New York Times)

気候変動について先日行われたスピーチは、内容もさることながら、誰が行ったかという点でも興味深い。

イングランド銀行(英中銀)のマーク・カーニー総裁は、地球温暖化が世界経済と世界金融の安定に対して大きな脅威になるとし、企業と規制機関は予想される経済的損害を抑制するために早急に対策に乗り出す必要があると主張した。

気候変動による壊滅的な影響

9月29日に行ったスピーチの中でカーニーがそう警告したのは、気候変動が科学の分野の論争を超えて、経済とビジネスを保護するための実際的な計画を立てる段階にあることを示している。

「気候変動による壊滅的な影響が、従来考えられていた領域に留まらないであろうことは、アクチュアリーたちに言われるまでもない。現世代が備えようとしないコストを次世代に負わせている」とカーニーは述べた。「気候変動がいったん金融の安定に対する明らかな問題になれば、もう手遅れだろう」

カーニーは気候にまつわる経済の問題を、「コモンズの悲劇(共有地の悲劇)」にちなんで「ホライゾンの悲劇」と呼ぶ。つまり、地球温暖化がもたらす損害は、複数年のビジネスサイクルも大統領選挙や議会選挙の政治的なサイクルも超え、「自らの権限によって縛られる中央銀行のような技術的な専門機関のホライゾン(領域)」も超えた不確実な時間の尺度でやってくるということだ。

中央銀行のトップが気候変動の長期的な問題について語るのは、やや違和感があるかもしれない。世界経済が不安定なときだからこそなおさらだ。

だが中央銀行の役割を、経済と金融システムの安定化に注視するというだけでなく、もう少し広くとらえれば、なぜ気候変動について考慮すべきかは明らかだ。

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