8億円貯めたサラリーマン投資家が、4235万円にのぼる「絶望的な誤発注」から得た"2つの教訓"
状況が呑み込めず、画面のバグかと思う私。しかし、信用評価損益はマイナス274万3214円(たしか)と表示されています。あまりに見慣れない表示、金額に冷や汗が出ました。そこで自分が購入した株数を確認すると、なんと「500株」。5株の信用買いをしたつもりが、100倍もの成り行き注文を出していたのです。
通常の売買であれば、「残高が足りませんでした」で取引ができずに終わるところですが、これは信用買いです。証券会社に借金をして500株を買ったことになるわけです。
その額、実に4235万円。当時の運用額を大きく上回る、信用全力誤発注でした。わかってとったリスクが顕在化したというなら、まだ納得できますが、節約目的で行った信用取引でこの状況は到底呑めるものではありません。
やってしまった―― 。
状況がわかってくると、次第に怒りがこみ上げました。会社のトイレに駆け込み、顔を2発、3発と思いきり殴りました。このままではマズい。とにかく売らなければという思いでなんとか損失を200万円程度に抑えることができました。
とにかく「二次被害」を最小限にする
私は「やらかし」を理解した時、会社のトイレで自分の顔を思いきり殴りました。単純にとんでもないミスをした自分自身に対して腹立たしい思いからの行為でしたが、結果的には、2つの意味がある大事な行動だったと思います。
1つ目は、自分のミスで大きな損失を出してしまったという大きなショックを、それを上回る物理的な痛みで上書きすること。
コントロールできない痛みを覆い隠すには、コントロールできるさらなる痛みを自ら与えること。これは麻酔なしで虫歯治療をしたときに学んだことでもありました。
こうして動揺する自分を無理矢理コントロール下に置き、完全ではないながら、冷静さを取り戻すことができたのです。
2つ目は、失敗について、「ああすればよかった」とか「こうしておけばよかった」という後悔や反省に心を奪われるのではなく、「今は何をするべきか」「次にどうすべきか」を考え行動に移すために、心を切り替えるきっかけになったこと。
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