現行犯逮捕!広末涼子容疑者はなぜ当初「自称」と報じられたのか――元・事件記者が徹底解説

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そうした場合、容疑者が取り調べで「自分は不動産業です」と言ったとしましょう。会社のホームページも存在しないし、登記簿謄本をとっても該当がないが、まったく事業実態がないわけでもなく、近所の人も「不動産をやっているらしいですよ」程度のことは言っている……。

裏付けはまだ取れていないが、とりあえず本人がそう言っているから「自称・不動産業」としておくか、となるのです。

自称・無職、自称・会社員、自称・会社役員などが多いですが、中には自称・水墨画講師、自称・占い師、自称・牧場作業員など、「たしかに確認に時間がかかるわな……」というケースもあります。

「容疑をほのめかす供述」とは?

ほかにも、事件ニュースでは「これはどういった意味だろう」という言い回しを耳にすることがあると思います。

たとえば「〇〇容疑者は容疑を認めています」とか「〇〇容疑者は容疑を否認しています」という言い方です。これは文字通り、容疑を認めているか、認めずに否定していることを指しますが、では次のこれはいかがでしょう?

「〇〇容疑者は容疑をほのめかす供述をしています」。認めているのか、いないのか、ちょっとはっきりしませんよね。これは「供述調書」の存在がカギになっています。

あなたが仮に犯罪の嫌疑をかけられて、警察に逮捕されてしまったとしましょう。

「おい、お前、やったのか正直に言え」と刑事はあなたを責め立てます。実は会社の上層部が関与しているとあなたは知っているのですが、それをしゃべってしまったら解雇されてしまうかもしれない。しかし、目の前にいる刑事はさっきからバンバンと机を叩いて追及してくるし、証拠も握っているようだ。どうしよう、もう楽になりたい……。

あなたは一計を案じます。「そうだ、ここは認めてしまって、あとで『本当はこういうことでした』と言い訳すればいいや」。

「やりました。ええ、私がやりました」

「じゃあ、誰に頼まれてやったんだ」

「いや、それはわかりませんねえ」

「詳しく話せ」

いやはや、時間を稼ぐつもりが、とんだ藪蛇になったかもしれません。警察からすると、単に「やりました」と言われただけでは、自白をしたことにはなりません。

こういう場合、対外的には「容疑をほのめかす供述」と発表することになります。

三枝 玄太郎 フリーライター、元産経新聞記者

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さいぐさ げんたろう / Gentaro Saigusa

1967年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1991年、産経新聞社入社。静岡支局、東京社会部(警視庁、国税庁、国土交通省などを担当)、大阪社会部(大阪国税局担当)、東北総局次長などを経て、2019年退社。WEB編集チームとしてネット記事制作の専門部署にも在籍した。著書に『十九歳の無念』(角川書店)。現在はYouTube「三枝玄太郎チャンネル」で日々のニュースの解説動画を配信。インターネット番組「文化人放送局」レギュラー出演中。

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