現行犯逮捕!広末涼子容疑者はなぜ当初「自称」と報じられたのか――元・事件記者が徹底解説

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県警広報課や各警察署の当直は、広報文をその月の記者クラブの幹事社にファクスで流します(1991年ごろはそうでした)。そこから幹事社のA社はB社とC社にファクスを流す、といった役割が決められています。小学校で親御さんが電話で伝える連絡網のようなものです。

皆が寝ている時間帯の広報は、体にきついものがあります。大きな事件、事故があったり、小さな広報でも立て続けにファクスが来たりすると、もう眠れません。電話で警察は「自称・広末涼子を傷害容疑で逮捕しました」と言って、ファクスを流したと思います。記者はびっくりしたでしょうね。「自称・ヒロスエ? 何だ、そりゃ」。一気に眠気が吹っ飛んだと思います。

ちなみに、被害者である病院の看護師は警察に診断書を提出したのかな、とも思います。暴行容疑ではなく、傷害容疑となっているのはそのためでしょう。

警察なりの「自称」の事情

今回の件だけでなく、逮捕のニュースではしばしば「自称・不動産業の〇〇容疑者は……」と報じられることがありますね。

「自称」とはいったいなんでしょうか。「自称じゃなくて、ちゃんと調べろよ」という声が聞こえてきそうですが、これも警察なりの事情があります。

容疑者が逮捕され起訴されて、裁判所に舞台が移ると、検察官が冒頭陳述というものを読み上げます。その際、「身上・経歴」という項目があり、容疑者(起訴されたあと裁判になると被告)の生まれ、育った地方、環境、家族構成、学歴、職歴などが明らかにされます。

このことを想定して、警察は住民票で住所を確認し、身上・経歴に関する供述調書(身上経歴書)に謄写・添付したり、会社員ならその会社から在籍証明書のようなものをもらったりします。自営業者ならば、登記簿謄本を添付するのが普通です。

ただ、逮捕した時点では、こうした手続きが間に合わないことがよくあります。しかもたとえばブローカーのように、仕事の実態がよくわからなかったり、日ごろブラブラしているように見えて、一獲千金的に大商いをすることがあったりする人物の場合、無職なのか職業があるのか、警察としても判断に迷うときがあります。

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