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いっこうに解消されない「空き家」問題…客観的に"壊せない理由"もあれば、あえて"壊さない理由"もある

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  • 中城 康彦 明海大学不動産学部長、一級建築士、不動産鑑定士
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④第4類型:意思能力の欠如

法律行為のための意思決定ができなくなった高齢者所有の空き家が該当します。

このような場合に備えて、社会的には、成年後見人制度や信託制度など、それを補う方法が準備されているにもかかわらず、援用することなく、結果として空き家が放置されます。

超高齢社会では高齢者が意思能力を失うことによって、本人にも社会にも損失が生じるケースが増加する可能性が高いことから、意思能力の欠如を補う制度の拡充と適時にそれを利用する仕組みが必要です。

「解体しない自由」の背景

第1類型、第2類型については法制度の整備等によって対応することが有用で、第4類型は法制度の利用を促すことで対応可能です。これに対して第3類型には日本で壊せない空き家が発生する課題の本質が隠されている可能性があります。

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第3類型は、積極的な理由もなく建物が空き家のまま放置される「建物の軽さ」を示しています。

日本の制度では、建物は解体しようと思えばいつでも解体できる「解体の自由」があり、技術基準に合致すれば建築できる「建築の自由」があります。さらには、放置しようとすれば放置できる「放置の自由」もあります。

米国や英国では放置された空き家はもとより、居住していても維持管理が適切でない住宅があると、物的な面のみならず居住者意識の面でも低い評価を受けてしまいます。

それが所有する不動産の資産価値の低下につながることから、維持管理が適切でない住宅があると、適切に管理するよう、ほかの住民からクレームが入ります。

それでも対応しない場合は、住宅地の管理組合や住宅地の管理会社が必要な工事等を行ったうえで費用を所有者に求償するなど、戸建て住宅地をマネジメントする仕組みがあります。

日本では戸建て住宅地のマネジメントの意識や仕組みが未成熟で、それが外部不経済に対する寛容さを招いて空き家を放置する自由となっています。

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