ソニー「解体」の日 復活への処方箋はあるか《下》

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 しかし、あるソニー・ミュージックOBは「ハードとソフトの融合は、大賀社長時代のCDで終わった」と言い切る。

90年代のDVD規格争いでは、ソニーは松下電器産業(現パナソニック)に敗退。00年代のブルーレイ対HD DVD戦争では、ソニー陣営のブルーレイが東芝陣営に勝利を収めることができた。ソニー・ピクチャーズを含むハリウッドがブルーレイを選んだことが勝因ではあるが、松下を取り込む多数派工作や大容量というブルーレイのアドバンテージもあった。それがハードとソフトの融合といえるかどうかはわからないままだ。結局、規格争いでもめている間に、映像のネット配信が広がったことで、ビジネスとしてのうまみは限られている。

むしろ音楽配信では、ハードとソフトの両方を持つことによる利益相反に陥ってしまった。

01年に携帯音楽プレーヤー「アイポッド」を発売したアップルが、04年に「アイチューンズ・ミュージック・ストア」を開設したことで、音楽は1曲ずつネットからダウンロードして楽しむ時代が到来した。ソニーもそれ以前から音楽配信を手掛けていたが、ソニー・ミュージックの意向を尊重するあまり、価格や著作権保護の機能で消費者の支持を得られず、アップルに完敗した。別のソニー・ミュージックOBは、「ソニーに音楽事業を売却してほしい、と訴えていた」と振り返る。

平井氏が力を入れるプラットフォームビジネスでも、ハードとソフトの融合は幻想に近い。そもそもソフト部門にとって、ソニー製品だけに利用が限られるのは大迷惑だ。多くのユーザーに楽しんでもらうためには、アップルやサムスンにも対応したほうがいいに決まっている。

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