ソニー「解体」の日 復活への処方箋はあるか《下》

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 同じことはハード側にもいえる。ソニー以外のソフトの使い勝手が悪いハードに魅力があるとは思えない。自社のソフト(コンテンツ)を持っていないアップルが成功しているのは、ソフトウエアを含めた製品の使い勝手が勝っているからだ。

それでも音楽畑出身の平井氏は「ハードとソフトの融合」に自信を見せる。成功例として挙げるのが、自らが社長を務めたSCEのゲーム事業だ。「ハードとソフトが支え合っている。ソニーらしい商品に加え、ソニーらしい体験を提供したい」と強調する。確かに、ゲームソフトは専用ハードに合わせて開発されるため、ハードの普及に伴ってソフト販売も伸びるビジネスモデルとなっている。だが、同じことがテレビやデジタルカメラ、パソコンといった汎用品で実現できるとは思えない。

ソニーが復活するには、製品開発、経営の両面で「ハードとソフトの融合」という呪縛から解き放たれる必要があるのではないか。

エレキの甘えを絶つ発展的なソニー解体を

ストリンガー氏、平井氏とソニーはソフト畑出身のトップが2代続くこととなったが、最大勢力のエレキ事業を率いる難しさは前述したとおりだ。

03~05年にソニーの取締役会議長を務めた中谷巌氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長)は、「エレキとエンタメ、金融では、考え方や価値観、競争力の磨き方がまるで違う。1人のCEOが束ねることに無理があり、エレキを完全に分離してモノづくりで面白さを創り出す体制を作らないと、ソニー再生はない」と指摘する。

 

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