
これまで捨てるのが当たり前だった廃材、廃品を再生、使い続けようという活動が全国に広がりつつある。
釘だらけの床板や用途不明の古いガラス鉢、足だけになった椅子……。
そんなものが使えるのかと思う人もいるだろうが、環境意識の高いヨーロッパでは廃棄物を減らすために建材を繰り返し使うシステムが模索されている。
空き家歴20年、荒れに荒れていた廃墟を廃材流通の拠点にしようと動き始めた活動をレポートする。
合言葉は「屋根が落ちてからが本番」
神戸市中心部から電車で30分弱。清少納言が枕草子で称えた有馬温泉の一駅手前に「有馬口」という、駅のすぐ近くに住宅と田畑が入り交じる小さな駅がある。
その駅から歩いて5分。駅に近いにも関わらず、線路と川に囲まれ、橋を渡らないとアプローチできない“陸の孤島”に現在、再生のための作業が続けられている廃屋がある。
もともとは線路敷設の際に必要だった変電所があったという場所で、建物は築60年。20年前に空き家になり、そのまま長らく放置されていたようだ。


そのため屋根は傷み、梁(はり)は腐って姿がなく、柱は溶けて消え、床は残置物の重みに落ちていた。まさに「満身創痍の状態だった」と振り返るのは、古物循環の店「山脈」店主で合同会社「廃屋」のグループにも身を置く丸山僚介さん。
「廃屋グループ」は兵庫県神戸市を拠点に、廃屋をもらったり、安価に購入したりして改修。地域一帯の空き家を改修して村としたり、アーティストインレジデンスなどとして活用してきた人たちだ。
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