柱は溶け、屋根は落ち……"陸の孤島"にある20年放置の廃屋、再生し目指すは「廃材流通の拠点」《神戸・有馬口》廃品がセンスの良い照明や食器に

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リビルディングセンタージャパン
諏訪市内にあるリビルディングセンタージャパン。左側の建物内部にさまざまな廃品が詰まっている(写真:筆者撮影)

ここは古材と古道具を販売する建築建材のリサイクルショップで、アメリカ・ポートランドにある中古の住宅設備、建材を販売するリビルディングセンターに感銘を受けた東野唯史さんが2016年に開業した。

アメリカには建築資材リサイクルショップ自体は多数あるのだが、地域コミュニティを作ることを目的のひとつとしているところがリビルディングセンターの特徴。単にモノを売るのではなく、モノを売ることを通じて地域や意識を変える、暮らしを豊かにするとでもいえばいいだろうか。

その点に共感した東野さんが本家本元に名称、ロゴなどの使用許可を得て開業したリビセンの「古いモノを見直し、もったいないを価値化、可視化して現代の暮らしにあったものにしていく」という考え方には丸山さんのみならず、関心を寄せている人は多い。

リビセンほどの規模ではないものの廃材を商品として扱う取り組み、使う改修事例が少しずつ出てきているのはその証左だろう。

「リビセンに出会って以来、自分の生活圏で地域に資源の循環を生み出すならどのような組織、どのような仕組みがいいかを考えるようになりました。

2021年には建築にまつわる仕事に転じ、そこで空き家の改修、まちづくりを経験。廃材を使う技術、ノウハウを身につけたところで独立。合同会社『廃屋』の活動に加わり、いよいよ、自分が主体になって地域に循環を生み出す仕事をスタートすることになりました」(丸山さん)

改修工事は敷地内の草刈りから

拠点となる建物は廃屋を引き取ってくれるという噂を聞いた所有者から合同会社「廃屋」が一昨年冬に譲り受けたもの。鍵は開いているからと言われ、住所を頼りに見に来た丸山さんは一目見て気に入った。

「駅から近いのに川と線路と背後の山に囲まれた別世界のような環境が面白いなと思いました。今住んでいる大阪市内では得がたい広さ、自然があり、建物を改修して店舗、住居にするだけでなく、広い庭を使ってキャンプ場を作る、オフグリッド生活の実験をするなどいろいろな実験をしてみたいと考えています」

敷地周囲には竹も繁茂
敷地周囲には竹も繁茂しており、それを刈る必要もあった(写真提供:山脈)

ただ、建物の状況は冒頭で述べた通り。改修工事はまず敷地内の草刈りから始まり、残置物の撤去、解体、腐った柱と梁の入れ替え、屋根から瓦と土を下ろして穴をふさぐ、床を張る、壁を塗る………。

洗面所
洗面所には、給食で使うトレイを使っている(写真:筆者撮影)
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