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ライフ #広がる新しい暮らし方 "廃居"という磁力

柱は溶け、屋根は落ち……"陸の孤島"にある20年放置の廃屋、再生し目指すは「廃材流通の拠点」《神戸・有馬口》廃品がセンスの良い照明や食器に

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漆喰を塗り終えた後。奥の壁は廃材の凸凹が漆喰の上からでもわかる(写真提供:山脈)

もちろん、その際にもできるだけゴミを出さないようにと給食用バットを洗面台に使ったり、雨戸とガラス戸を合体させて新しい引き戸を作る、廃材を下地として壁に貼る、その上に屋根から下ろした土をふるって漆喰と合わせて家を覆っていた葛の葉なども混ぜながら壁を塗るなど工夫を凝らした。

合同会社「廃屋」が開催している半人前大工育成講座の参加者などにも手伝ってもらいながら作業を進め、約1年ほどかけて2025年3月には店舗のみ仮オープンにこぎつけたが、全体としての進捗は見たところ、5分の1程度といったところ。

店内。棚その他の備品もすべてもらってきた(写真:筆者撮影)

2階を住めるようにする、廃材を収納するために元豚小屋を倉庫に改修する、トイレを流せるようにするために浄化槽を整備するなど建物、設備に関する未完成もあるが、それ以上に大きいのはここで収益を上げていける仕組みを構築することだ。

廃材利用が広がる可能性は低くても

率直なところ、今の市場の仕組みの中でこの取り組みが収益を上げるのは非常に難しい。廃材がこれまで流通せずに捨てられていたのは、そのほうが経済的に合理性があるから。環境や資源に対してはよくないこととしても、廃棄したほうがお金がかからないのだ。

丸山さん自身もそれは認めており、現在行っているクラウドファンディングの中でこれから始まる事業について「ぶっちゃけ、たぶん、儲からない!」と言い切ってもいる。

廃材自体はただでもらい受けてくるものの、それを運び、保管し、使えるようにするまでには手間がかかる。釘だらけの板から釘を抜くだけでもどれだけ時間がかかることか。

敷地内には釘の残る材が積まれていた。使用するためにはこれを抜かなければならない(写真:筆者撮影)

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【何に味わい、美や価値を見いだすか】

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