「日本人は起業家精神に欠けている」というのはウソだとアメリカ人の知日派ジャーナリストが確信しているワケ

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「私の友人で、日産に40年勤めている人がいます」。私が2018年6月に面談した早稲田大学の東出浩教教授は語った。その友人は若いころから創造力に富む人で、やがて国際マーケティング部門で、そののち品質管理部門で、総務担当の管理職になった。

「でも、40代なかばになると、彼はとても官僚的になっていました。新しいことは何もやりたがらず、言われたことだけをやっていました」。東出によれば、ルノーが入ってきてから2年ばかりのあいだに、その友人のマインドセットが劇的に変わったという。解決策を考えだすよう言われたからだ。

「つまり、社員のマインドセットが変わったんです。『間違いを犯したくない』から『何かやってみないといけない』に」。シャープでも、台湾の鴻海に買収されたあと、同様の変化が起こった。

どの国でも起業家は「独特の性格」を持っている

日本人は一般的にほかの国の人に比べて生まれつきリスクを避ける傾向があると仮定してみる。しかし事実は、どんな国でも、野心的な起業家は一部の少数派であり、独特の性格をもっているのだ。

起業家だけを対象として各国で行なった調査では、日本でも他の国と同じような結果が出ている。ある調査では、「日本では、個人主義者にとって動機となる自己実現願望と創造性が、ハイテク分野のスタートアップ創業者の原動力になっている」ことを見いだした。

13カ国で実施した別の研究では、新しい会社を設立する人は、それ以外の人と違う考え方をしていることがわかった。実際のところ、起業して成功した日本人は、日本の企業管理職よりも、アメリカ人の成功した起業家と共通する点のほうが多かったのだ。

起業家というと、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズら、若く型破りでガレージから出発した人物というイメージをもつ人が多い。しかし、こうした起業家は例外であり、標準ではない。

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