中国発の国際貨物列車、「ロシア要因」で需要急減 往路の輸送量26%減、コンテナ運賃は半額に

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2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、中国の自動車メーカーはロシアへの輸出を急速に伸ばしてきた。2024年の中国の総輸出台数に占めるロシア向けの比率は約2割と、国別で最大だ。

ロシア政府は中国車の輸入拡大を事実上容認していたが、2024年から引き締めに転じた。写真はロシア北極圏でテスト走行する中国製SUV(奇瑞汽車のロシア向けウェブサイトより)

ところがロシア政府は2024年4月、中央アジア諸国経由でロシアに輸入される自動車の関税を大幅に引き上げた。中国の一部の自動車メーカーは、ロシアの高関税を回避するために(ロシアが関税を優遇している)カザフスタンやキルギスなどを通じた迂回輸出を行っていたが、その抜け穴をふさぐ措置だった。

さらに、ロシア政府は2024年10月、輸入車の廃車税(リサイクル税)を7~8割も引き上げ、輸入車の保有にかかる費用負担を(国産車よりも)重くした。そこにロシアの景気減速が重なり、中欧班列を利用した中国車の輸出にブレーキがかかっている。

海上輸送への切り替えも

それだけではない。同じく2024年10月、ロシア政府は同国経由の輸送を禁止する貨物のリストを改定し、軍事転用が可能な機械類、電子機器、迷彩服などを追加した。それに伴い、中欧班列で中国からヨーロッパに向かっていたコンテナの一部が、ロシアを通過中に差し押さえされるケースが相次いだ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

「2024年10月下旬以降、わが社が手配したコンテナだけで70箱が影響を受けた」。湖南省のフォワーダーの総経理(社長に相当)を務める劉讚氏は、財新記者の取材にそう明かした。

前出の楊傑氏によれば、この事件は中国の荷主に衝撃を与え、中欧班列の利用を避ける動きが静かに広がった。

「一部の荷主は鉄道輸送から(コンテナ船による)海上輸送に切り替えた。事件の影響は今も続いており、それが中欧班列の運行本数や貨物輸送量のデータに表れている」(楊氏)

(財新記者:鄒暁桐)
※原文の配信は3月21日

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