
中国からキルギスを経てウズベキスタンに至る国際鉄道「中吉烏鉄路」が、本格的な建設段階に入った。中国の国有鉄道会社、中国国家鉄路集団の発表によれば、キルギス区間の要所である3つのトンネルの建設工事が2025年4月末に着工した。
中吉烏鉄路の中国側の起点は新疆ウイグル自治区西部のカシュガル。そこからキルギスを横断し、ウズベキスタン東部のアンディジャンが終点となる。総延長約523キロメートルのうち、キルギス区間が約305キロメートルを占める。
上述の3トンネルの着工は、当初予定の2025年7月から2カ月前倒しされた。とはいえ中吉烏鉄路が本格着工にこぎ着けるまでは、初期の構想段階から27年もの長い年月を要した。
ロシアの反対姿勢が軟化
建設資金の分担や(中国とキルギス・ウズベキスタンで異なる)レール幅の選択をめぐって沿線3カ国の意見がまとまらなかったことに加えて、中央アジア諸国に大きな影響力を持つロシアが建設に反対したことが、プロジェクトの長期停滞を招いた要因だ。
中吉烏鉄路が開通すれば、(中国と中央アジア諸国の関係が強まり)自国の影響力が相対的に低下するとロシアは懸念していた。だが、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ロシアは(中国と中央アジア諸国を味方につけるために)反対姿勢を徐々に軟化させた。
さらに、ウクライナでの戦争が中国とヨーロッパを結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の安定運行を揺さぶったことも、中吉烏鉄路の早期着工への機運を高めた。中欧班列の荷主や関係国の鉄道部門の間で、(ロシアを経由しない)新たな一貫輸送ルートの整備を模索する動きが強まったからだ
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