ハーバード大学「新奨学金制度」で見せた太っ腹! 年間授業料800万円超を免除する世帯年収の上限を2倍の「2900万円」に引き上げへ

アラン・ガーバー学長は「ハーバード大学により多くの学生が財政的に不安なく入学できるようにすることで、さまざまな背景の人々に会い、経験と視野を広げ、知的かつ個人的な成長を促進することが狙いである。優れた将来性を持つ人々が集まり、互いに学び合うことで、私たちは大学の限りない可能性を真に実現する」と語っている。
また、ホピ・ホークス学部長は「ハーバード大学は長い間、経済状況に関係なく、最も才能のある学生に門戸を開くことを目指してきた。こうした財政支援は、入学したすべての学生がハーバード大学の教育を卒業まで受けられるようにするのが目的である。これによって、学生は学問的情熱を追求できるようになり、それは将来によい影響を与えることになる」と、新制度の狙いを説明している。
また、同プログラムの担当者ジェイク・カウフマン氏は「学資援助プログラムは、学生が最小限の制約で学び、訓練され、創造し、ハーバードの経験に完全に関わっていけるように設計されている」と語っている。
ハーバード大学の低所得層の学生に対する資金援助には長い歴史がある。支援プログラム「Harvard Financial Aid Initiative」は2004年に始まった。当初は世帯収入4万ドル以下の学生を対象に、授業料、食費、住居費などを免除した。基準となる世帯収入は2006年に6万ドルに、2023年に8万5000ドルに引き上げられ、対象となる学生の数を増やしてきた。2007年には学生に対する貸付制度を廃止し、すべての援助を贈与にしている。
学生への資金援助は「支出」でなく「投資」
ハーバード大学は学生に対する資金援助に累計で36億ドル以上を投資してきた(ハーバード大学は「支出」といわずに、「投資」という言葉を使っている)。現在、学部の学生の55%がなんらかの学資援助を受けていて、2023〜2024年度に1人の学生が払った費用は平均1万5700ドル(約227万円)にすぎない(本来の総経費は前述のように8万7000ドル)。
ハーバード大学の入学説明書には「入学が決まると、財政支援委員会が学生の家族の収入、資産など全体的な財政状況を評価し、それに基づいて奨学金を与える。家族の住宅価格、退職年金預金などは評価の際に考慮しない。最も重要なことは、あなたがハーバード大学に入学するチャンスに財政状況が影響を与えないということである。私たちは、学生の経済状況がそれぞれ違うことを知っている。あなたの財政支援担当者は4年間、あなたと協力し、あなたのニーズを理解し、ハーバード大学に通う以外のストレスを取り除きます」と書かれている。
筆者は45年前にハーバード大学に籍を置いていたことがある。当時も学生に対する支援は厚かった。今回の施策で、それを改めて思い出した。同時に、日本の大学とのあまりにも大きな違いにため息をつかざるをえなかった。
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