ハーバード大学「新奨学金制度」で見せた太っ腹! 年間授業料800万円超を免除する世帯年収の上限を2倍の「2900万円」に引き上げへ

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学生ローン利用者は4388万人に達している。2022年末の学生ローン残高を見てみると、1万~2万5000ドルが一番多く、全体の26.8%を占めている。次いで2万5000ドル~5万ドルが20.3%、5万ドル~7万5000ドルが9.2%である。

大学を卒業したからといって、必ずしも高収入が約束されているわけではない。そして当然ながら、長期間にわたりローンの返済をしなければいけない人は多い。バイデン前大統領が連邦政府のローンの返済猶予や免除を実施しようとしたのも、こうした現実から見れば当然である。

だが、トランプ大統領は、そうした措置を廃止しようとしている。学生ローン問題は、政治問題でもある。

世帯年収10万ドル以下なら全経費1260万円免除

ハーバード大学キャンパス内にあるメモリアル・ホール(写真:Bloomberg)

世帯年収20万ドル以下の学生の授業料を免除するという、ハーバード大学の新奨学金制度は、非富裕層の学生に対し門戸を広げることになる。同時に、授業料以外の諸経費(寮費、健康保険料、旅費など)全額が免除の対象となる世帯年収を8万5000ドルから10万ドル(約1450万円)に引き上げた。さらに初年度には新生活に備えるためのスタート・アップ助成金2000ドル(約29万円)が支給される。

厳しい選考(2024年の応募者数は5万4000人で合格率は3.59%)を突破するという条件はあるが、アメリカの全世帯の86%が年収20万ドル以下なので、ほとんどの子供がハーバード大学で学ぶ可能性を有することになる。この制度は2025年9月から始まる2025〜2026年度から適用され、予算は2億7500万ドル(約398億円)だ。

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