ソニー「解体」の日 復活への処方箋はあるか《上》
エレキ、音楽、映画、金融というソニーの主要4事業で、音楽・映画事業は営業利益700億円、金融事業は1000億円程度を安定的に稼ぎ出す。これに対し、エレキ事業が黒字化したのは過去10年間で3期のみ。売上高で7割を占めるエレキ事業の赤字を、ほかの3事業で補う構図が続いてきた。
05年に会長兼CEOに就いたストリンガー氏は、「日本と違い、欧米でソニーといえば映画や音楽のブランドのイメージが強い」とエレキ軽視とも受け取れる発言を繰り返してきた。エレキ事業ではリストラに次ぐリストラを行う一方、ソフト部門では積極投資を行った。
08年には合弁会社ソニーBMGの全株を取得して完全子会社化。10年にはユニバーサルミュージックCEOだった「伝説のレコードマン」と呼ばれるダグ・モリス氏を、ソニー・ミュージックCEOに引き抜いた。11年には英音楽大手EMIグループの音楽出版事業を買収。結果、世界の音楽市場は、ソニー・ミュージック、ユニバーサルミュージック、ワーナーミュージックの3社寡占体制が固められた。
大賀典雄社長時代に赤字と乱脈経営で手を焼いた映画部門も、今は安定的に利益を上げる優等生に育った。『スパイダーマン』といった娯楽作のみならず、幅広い作品を手掛けて存在感を放っている。
金融事業では、ソニー生命保険を中心として国内で一定の地位を確立している。リーマンショック後は赤字に沈んだが、翌年には黒字復帰。「今や金融は欠かせない事業」(ソニーの加藤優CFO)となった。