ソニー「解体」の日 復活への処方箋はあるか《上》
最先端の経営体制で形骸化するガバナンス
そもそもエレキ、音楽、映画、金融のすべてに精通した経営者など存在しない。それゆえソニーは「委員会等設置会社」制度を導入、事業を行う執行役と意思決定や監督を務める取締役に役割を分けてきた。
現在は15人の取締役がおり、社内役員はストリンガー氏と、エレキ部門のトップを3年前に退いた中鉢良治氏のみ。残る13人が社外取締役であり、トヨタ自動車の張富士夫会長のほか、大学教授や経営コンサルタント出身者などが名を連ねる。経営のプロがそろっていれば、CEOがエレキ出身でなくても問題ないはずだが、実態は異なる。
ソニーの元社外取締役は、「経理の数字をチェックしても、その中身は詳しくわからない。赤字が続けばトップ交代を促すくらいで、役割は限られている」と打ち明ける。取締役会は形骸化が進んでおり、過大な期待はできそうにない。
6月にはストリンガー氏が取締役会議長に就く。業績悪化で退任したCEOの起用に懸念を示した社外取締役もいたが、その声は受け入れられなかった。取締役会の議題は議長に決定権があるため、今後もストリンガー氏の影響力は隠然と続く。
音楽、ゲームと渡り歩いてきた平井新社長は、昨年4月から民生機器部門を統轄している。とはいえ、本流のエレキ部門から見ると外様だ。しかも、ストリンガー氏に引き立てられ異例の出世を遂げた。平井氏が構造改革を断行するには、ストリンガー氏との関係を保ったまま、反ストリンガーの空気を持つエレキ部門を掌握する必要がある。
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(前田佳子 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2012年2月25日号)
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