生成AIの活用・導入を成功に導く「5つの条件」 世界で成果を出す企業は何をしているのか
事業課題を解決するために、生成AIと他のデジタル技術と組み合わせて、どのようなユースケースを創出できるかを検討する、その検討サイクルを継続的に回しながら、ユースケースの質と量を向上させていくことが重要です。ユースケースによる価値創出には次のような2つのフェーズがあると考えています。
生成AIのユースケースを創出・実行するフェーズ
このフェーズで重要なのは、自社の事業課題に対し生成AIのユースケースがどのように活用できるかを繰り返し検討し、有用なユースケースを特定することです。
実際の事例を1つ紹介します。A社は従業員の接客品質の向上と抜本的な業務効率化を実現し、接客力No.1を目指しています。現状分析を行った結果、従業員は事務処理等の非対面業務に追われ、最適な商品提案などの接客業務のために十分な時間を確保できていないことが分かりました。
ここで重要なのは、「非対面業務への業務量の偏り」という目先の課題解決だけにとどまることなく、生成AIのユースケースパターンに基づく検討を繰り返し、A社が将来のお客様対応において目指すべき姿を策定することです。
A社は、「生成AIが従業員のパートナーとなり、接客の内容やタイミングなどを提示、それを基に従業員が商品を提案するといった高品質な接客ができる状態」を目指すことになりました。さらなる現状分析の結果、接客データの入力方法に課題があることが分かりました。
そこで生成AIの要約機能を活用し、口頭での報告やフリーで入力した情報を自動的にフォーマットへ変換し、基本となる接客履歴およびお客様情報の入力がスムーズになることで、従業員の作業負荷の軽減につなげることができました。
紹介した事例のように、企業の事業課題に対して繰り返しユースケースパターンをぶつけることで、自社の課題解決に寄与するユースケースを創出できます。
次に、生成AIを定着させるフェーズでは、生成AIユースケースの利用者を増やしながら、ユースケースの質と量を向上させる仕組みを構築します。代表的な仕組みの例として、①コミュニティによるナレッジ展開、②生成AIプロジェクトの可視化を紹介します。