「御上先生」から学ぶ"教え合い"勉強法の秘訣。生徒同士が教えることで成績向上にもつながる
―――それで思い出したのですが、東大には「試験対策委員会(略称:シケタイ)」という制度があります。この制度のおかげで、学生それぞれが得意な授業科目の解説プリントを作ったり、相互ティーチングをして、みんなで良い点数を取ろう、という風潮があります。
東大には「各科目の成績上位者は全体の人数の3割に抑えなければならない」という成績上の規定があるにもかかわらず、シケタイ制度を通じて積極的に勉強を教え合っています。
これは、一見すると「教えられている側の人の成績を上げる」手伝いをして、教える側はいい成績が取りづらくなっているだけのようにも見えます。しかし実際には、教えている側の理解も同時に深まっているから、教える側が損している、なんてことはまったくないんですね。
そうなんです。勉強で教え合うことでいちばん得をしているのは、教える側なんです。
「勉強を教え合う」行為は、試験の成績の向上(=認知能力)と他者とコミュニケーションを取る行為(=非認知能力)のちょうど中間に位置する行為なので、教える側は認知能力と非認知能力を同時に高めることができるのです。
自分のロールモデルを見ることができる
―――では逆に、教えられる側の生徒のメリットはどんなものがありますか?
教えられる側のメリットとしては、自分のロールモデルを見ることができる点でしょう。
もちろん、学校の先生のような、正しい知識を教えてもらえる存在は必要です。知識や経験の差が明白なため、生徒が「先生のように考えて問題を解けるようになろう!」と思うことは多くはありません。この意味で、学校の先生は生徒のロールモデルとはなりづらいです。
しかし、生徒同士であれば話は変わります。
勉強を教え合っている生徒同士の能力差や経験の差はそれほど大きくないので、勉強を教えてもらっている生徒も「頑張れば、私も勉強を教えられる側になれそう!」「こういうふうに考えれば、私も成績が上がるのか」と、自分ごとのように捉えることができ、努力の方向を間違いづらいです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら