すでに株式上場を果たした本州三社はJR会社法の改正により同法の適用除外となっている。国以外の者が株主として関わる以上、国の関与は最小限にされるべきであるから当然である。
もちろん、本州三社といえども、JR会社法の附則に基づく国交相による指針を示されたり、指針に基づく指導や助言を受けたりすることもある。指導や助言にとどまらず、「利用者の利便の確保」「適切な利用条件の維持」「地域経済や社会の健全な発展の基盤の確保」のために国交相はその事業経営に対して勧告や命令を発することもできる。
しかし、路線や駅の廃止、寝台特急の廃止があっても直ちに勧告等がなされるわけではない。新幹線列車の大幅削減とか、JR旅客会社によるJR貨物に対する過度な線路利用制限などというようなことでもない限り、「自主性確保」が優先され、指導、助言、勧告、命令がなされることは現実的にはほとんどないであろう。
国鉄改革の目的は達成されたか
JR発足から28年。改革に伴う様々な議論や不幸な出来事があり、各社をまたぐ列車の減少という変化もあったとはいえ、国鉄改革法の目的の一つであった「主要都市を連絡する中距離の幹線輸送」、「大都市圏及び地方主要都市圏における輸送」「地域輸送」の分野を適正な規模で効率的に運営するという目的はおおむね達成しつつあるといってよいのだろう。
一方で、本州三社と三島会社やJR貨物との間には、JR会社法の適用や経営基盤において発足時と比較してもさらに大きな差が生じてしまっている。同じJRグループであるのに経営のあり方や職員の地位に差があるのも望ましいものではない。
国鉄由来の鉄道会社として最小限の規制を受ける必要はあっても、JR各社とも民営鉄道である以上、「明確な経営責任の下に自主的な運営」が達成されなければならない。JR北海道、JR四国、JR貨物を取り巻く環境は本州三社とは比較し難いほど厳しくはあるが、本州三社やJR九州に続き、健全な鉄道事業者としての経営基盤を確立し国鉄改革が完了する日が来ることを望んでいる。
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