開発者が明かす山手線「最新車両」導入の狙い いよいよ登場する新たな東京の「顔」
山手線は、東京の「顔」である。東京は、世界でも特に鉄道網が発達した都市であり、その市街地をぐるりと周回する山手線は、東京の鉄道網を代表する存在だ。
そんな山手線に新しい「顔」が加わろうとしている。E235系と呼ばれる新型電車だ。その最初の1本目(11両編成)が山手線で今年秋頃に営業運転を開始することは、JR東日本が昨年7月に発表した。完成した1本目は、今年3月に東京の車両基地で報道公開され、現在は山手線や東海道線などで試運転をしている。
E235系は、山手線の新車ということもあり、注目度は高い。その特徴は、電車の「顔」とも言える先頭部の独特なデザインだけではない。車内の吊り広告をなくし、各号車に「フリースペース」を設けるなど、従来の日本の通勤電車になかった試みが盛り込まれている。
では、なぜJR東日本はこのような新型電車を開発したのか。開発者の1人である同社車両技術センターの水谷恵介氏に聞いてみた。
なぜ新型を開発したか
さて、なぜわざわざ新型の通勤電車を開発したのか。電車を更新するだけなら、従来型の通勤電車を新たに量産して投入することもできるのではないか。その問いに対して水谷氏は「通勤電車も時代とともに進化しなければならないから」と答えた。
たとえば山手線では、現在の電車が導入されてから10年以上が経過しており、その間に利用者のニーズが変わり、技術も発達した。こうした変化に柔軟に対応し、サービスを向上させるには、新型の通勤電車を開発する必要がある。そうした意見や検討が社内にもともとあり、まとめた結果生まれたのが、E235系なのだそうだ。
ただし、山手線の電車がE235系に完全に置き換わる時期はまだ決まっていない。現在の電車(E231系)は、2002年から3年かけて導入され、国鉄時代の通勤電車と完全に入れ替わった。ならば次も3年ぐらいで入れ替わるようにも思えるが、そうではないと水谷氏は言う。
新型がデビューするときは、電車の完成度を高めるための「お試しの1本目」として、量産先行車と呼ばれる車両が造られることがある。この場合、本格的に量産する車両(量産車)は、量産先行車のデータなどを反映させて造るので、製造が遅れる。
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