JR東vs.東急・小田急、通勤で強い会社は? 通勤サービスは関東・関西でどう違うのか
毎朝、毎夕。押され、詰め込まれながらも、会社へ通うためには乗らざるを得ない満員電車は「どうにかならないものか」と皆が思っているに違いない。
特に首都圏では、朝の平均乗車率が定員の200%近くに達している路線も少なからずある。通勤型電車の定員は座席の数と立席の数を合わせたもので、一般的な車両では150人前後。となると、単純計算だがラッシュのピーク時には1両に約300人、10両編成では約3000人が1本の列車に乗っていることになる。平均はあくまで平均なので、200%以上、利用客が集中している列車、車両もあることだろう。それが数分おきにターミナル駅に到着する。
関東より関西の競争が厳しいワケ
通勤通学ラッシュの問題が顕在化し、鉄道各社が最重要課題として取り組み始めたのは、高度経済成長の開始と軌を一にした1950年代から。以来、国、地方自治体も一体となって対策に務めてきた。「全員着席通勤」という理想にはほど遠いにせよ、徐々にではあるが混雑は改善されており、成果が見られるようになっている。
少しでも快適な通勤のために、鉄道会社や関連する行政機関などがどのような取り組みを行ってきたのか。電車や駅の設備といった細かくとも目に付きやすいハード面から、鉄道会社の経営方針といったソフト面まで。
昨今の通勤電車事情を、これからいろいろな切り口で概観していこう。まずは、関東と関西の大手私鉄における、最近の姿勢の変化に注目したい。
明治から昭和初期にかけての開業当初から、関東の私鉄では国鉄(JR東日本)と競合する路線は多くなく、反対に関西の私鉄の大半は国鉄(JR西日本)と激しい競争を繰り広げてきた。この立地条件の違いが、そのまま鉄道としての特色の違いとなったとよく言われる。
いわく、関東では沿線の通勤通学客がおのずとひとつの路線に集中するため、多くの利用客を滞りなく輸送することが重視され、電車も機能性や効率優先である。
これに対し関西では、油断していると利用客はすぐ他社へ逃げるので、必然的にサービスアップには熱心に取り組んでおり、電車も高級志向、高速運転重視。2人掛けシートの電車が多く生まれ、特急が大都市間に頻繁に走ることとなる。
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