「JR会社法」に隠された本当の目的とは何か JR社員は「みなし公務員」だった?

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前述したとおり、JR会社法の適用を受けるJR会社の株主は実質的には国であるから、国の監督を受けることはある意味当然である。しかしながら、国鉄改革の趣旨に照らせば、JR会社法はJR会社に国が強力な規制をかけるというよりも、国による規制のルールを定め、国が実質的な株主の立場でJR会社へ過度に介入することを防止し、JR会社の自主性を保たせたものというべきであろう。

国鉄改革法は「明確な経営責任の下において自主的に運営されること」を目的の一つとしており(国鉄改革法第6条1項、第7条1項)、「いつか来た国鉄破綻の道」を再発させることなく、日本の基幹的鉄道輸送を維持発展させるために、JR会社法によって株主である国の介入のあり方を整理したと考えられるのである。

国の暴走が国鉄の破綻を招いた

国は金銭的な利益追及をする株主ではない。逆に利益無視をした不合理な経営判断をすることがあることも過去が教えるところである。

一例を挙げれば、1980年代の特定地方交通線廃止問題の際、廃止第一号となった国鉄白糠線(北海道・白糠―北進・33.1㎞)の延伸開業などは好例であろう。白糠線は1964年に白糠―上茶路(25.2㎞)が部分開業した。国鉄は予定されていた上茶路から先の延伸を赤字必至のため拒んだものの、政治的な理由で1972年に北進までの7.9㎞を延伸開業することになる。当時は国鉄再建の一環として国鉄の赤字ローカル線廃止が提起されていたにもかかわらずである。

そして結局白糠線は、1981年に赤字を理由に第一次特定地方交通線として廃止対象路線とされ、北進まで開業したわずか11年後の1983年にあえなく廃止されることとなる。末期は一日3往復の列車がわずかな乗客を運ぶだけの営業係数(100円の営業収入を得るのにかかる経費を表す指数)2000~3000を超える赤字線であった(規模が小さいので赤字額は1億円程度にとどまったようではあるが、建設費や廃止に伴うバス転換交付金などの支出も考えれば少なくとも延伸をする意味のない路線であった)。

公共交通機関は単純な損得だけで判断されるべきものではないが、過去に見られた不合理な経営への介入を排除することも国鉄改革の目的であったのである。

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