初代ビスタカーは1958年に大阪線に登場した10000系。高速で走る電車として2階建て構造は世界初だった。先頭車は流線形のデザインで、7両編成の中間3両が連接構造、うち2両が2階建て車両となっていた。車体の塗装は当初、窓の周りがオレンジ、その上下がブルーの塗り分けだった。
試作車的な存在だった10000系は1本のみの製造だったが、オレンジとブルーの車体色はこの後、塗り分けを変えつつ近鉄特急のカラーとして引き継がれていくことになる。

初代と2代目も名車
2代目は「新ビスタカー」と呼ばれた10100系。1959年12月に登場した。連接構造の3両編成で中間車が2階建てだった。
それまで大阪線が軌間1435mmの標準軌、名古屋線が1067mmの狭軌だったが、1959年9月の伊勢湾台風で受けた甚大な被害からの復旧工事に伴い、名古屋線の標準軌への改軌が前倒しされた。
大阪線と名古屋線の軌間が統一されたことにより、現在に至る名阪直通特急の歴史が始まった。その運用を担ったのがビスタカーで、2階建て車両は近鉄特急のイメージとして定着した。
「鉄道友の会」が前年に登場した最優秀車両を選ぶ「ブルーリボン賞」は、1958年に創設され、初回は小田急電鉄のロマンスカー3000形が受賞した。第2回の1959年は国鉄の151系で、第3回の1960年に受賞したのが近鉄の10100系だった。

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