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不二家「ミルキー味のドーナツ」一体なぜ生まれた ロングセラーを新業態に生まれ変わらせる戦略

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「たくさんの中から選ぶよりも、限られたアイテム数の手軽さを重視しています。そのうえで、季節メニューを頻繁に入れ替えることで、『次行ったら、また新しいものが出ているかも』と期待してもらえる店にしたいのです」

ミルキー風味のドリンク、のむmilky。疲れたときに恋しくなる、ほっと懐かしい甘さ(写真提供:不二家)

経営的に見ても、アイテム数が少ないほうが原料効率が良く、ロスも少なくなる。セントラルキッチンからの配送は1日1回。購入動向を予測して揚げる数量をフレキシブルに調整でき、廃棄も減らしやすいからだ。天候にもよるが、廃棄率は5%にも満たないそうだ。

話を聞いて一瞬、「合理的だが、選ぶ楽しさが少ないのでは」という疑問が頭をよぎった。だが考えてみれば、筆者もよく訪れるドーナツショップで、毎回お決まりの3~4種類しか注文しない。そう考えると選択肢は少なくてもいいのかもしれない。

全国のフードコートへ出店を計画中

「ペコちゃんmilkyドーナツ」は、2024年9月に神奈川県のショッピングモール「ビナウォーク海老名」に1号店が、2025年1月に東京都の「有明ガーデン」に2号店がオープンした。続いて、2月に「横浜ワールドポーターズ」に3号店がオープンしたばかりだ。

いずれもフードコート内で、ビナウォーク海老名店は対面販売のみ。有明ガーデン店と横浜ワールドポーターズ店は、フードコート内だが自店内にイートイン席も用意している。

頻繁に各地で催事出店もしており、反響が良いため、今後も積極的に展開していく構えだ。競合ドーナツチェーンとのバッティングを避けながら、さまざまなフードコートで出店を検討しているという。

ペコちゃんmilkyドーナツ 有明ガーデン店。2025年1月にオープンした(写真提供:不二家)

ここまで取材するなかで、注目すべきは、最初から大規模ではなく、少数店舗での実証実験的なアプローチを採用している点にもあると感じた。

限られたメニュー数、少人数オペレーション、催事出店による市場反応の測定。これらはいずれも、投資リスクを抑えながら市場適合性を探る手法であり、新規事業開発の教科書的展開といえる。

大企業でありながらもスタートアップのような俊敏性を持ち、迅速な軌道修正も可能にしているのだ。

milkyドーナツのプレーン(手前)、チョコレート(奥右)、いちご(奥左)(写真提供:不二家)

続く後編ー不二家の「ドーナツ専門店」"大反響"も納得のワケ もともと持っていた強みを活かせる業態だったーでは、「ペコちゃんmilkyドーナツ」によって訪れた客層や来店動機の変化から、新業態開発のために編成されたチームの結成背景、2007年の危機を転機に育まれた「挑戦する風土」まで、さらなる深掘りをしていく。

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