不二家「ミルキー味のドーナツ」一体なぜ生まれた ロングセラーを新業態に生まれ変わらせる戦略

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実際、ミルキーとドーナツの組み合わせは、見た目の新規性と味の馴染み深さを両立させることで、顧客の「心理的ハードル」を下げることに成功している。

ペコちゃんmilkyドーナツ 横浜ワールドポーターズ店。店内にイートインスペースも設けられている(写真提供:不二家)

「テトリス」しないで、誰でも簡単に

ドーナツ専門店という業態を選んだのには、オペレーションの面でのメリットも大きかった。

そもそもドーナツは製造工場で揚げて輸送するため、スタッフは販売のみに集中できる。しかも、ドーナツはケーキに比べて取扱いが格段に楽なのだ。

なぜなら、ケーキは大きさや形が種類で違うので、箱に詰め合わせようとすると、テトリスのように「隙間なく詰める工夫」が必要になる。

「客が選んだ複数のケーキをどのサイズの箱に入れるのか」の目測も難しい。経験を重ねて、「この組み合わせだったら、この箱にこう納まる」と瞬時に判断できるようになるまでは、客を待たせてしまうリスクもある。

ロゴマークのペコちゃんが際立つ、ペコちゃんmilkyドーナツの持ち帰り専用箱(写真提供:不二家)

新人は店長やベテランスタッフが指導するが、各商品の内容、取扱資材など覚えなければならないことは数多く、10時間教えても独り立ちは難しいそうだ。

一方でドーナツは、箱選びも詰め合わせも比較的簡単だ。提供するまでの時間も、新人が独り立ちするまでの時間も、明らかに短い。

客側も、ケーキのように慎重にならずとも持ち帰ることができる。働く側にとっても客にとっても、Win-Winなスイーツなのだ。

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