築41年賃貸を活用「アーティスト活動拠点」の異彩 カオスで楽しい空間が話題の「赤羽異地番街」

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2023年に入居したのが、アーティスト・ディレクターのGakkiさんと建築家・デザイナーの曾原翔太郎さんだ。「学生時代は大学に工房があったので創作活動に没頭できましたが、卒業後は拠点がなくもどかしい日々が続きました。私が行う家具デザインは多くの材料や製作器具が必要で、作業中は音も出ます。なので、この募集を知った時はすぐに応募しました」(曾原さん)

赤羽パールマンション
銀色の扉を開けたら広がる工房。写真はGakkiさんが創作楽器の製作を行っている様子(写真撮影/片山貴博)
赤羽パールマンション
工房の地下には音出しスペースやDJブースがある。Gakkiさんが製作する自動楽器の音出しに使ったり、イベントを開催して曾原さんがDJを務めたりすることも(写真撮影/片山貴博)
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DJブースに貼ってあるステッカー。機材に酒をこぼすと故障して活動に支障が出るため聴衆に喚起するのが目的。このコピーは赤羽にあるクラブハウスが発祥で、界隈で有名になりステッカーがネットで販売されている(写真撮影/片山貴博)
赤羽パールマンション
老朽化が進んだ和式の便所を家具デザイナーでもある曾原さんが大胆にリノベーション(写真撮影/片山貴博)

リノベーションをDIYで行いダンスフロアに改装

2024年3月に入居したダンスカンパニー「Reconu」の小磯捺未(こいそ・なつみ)さんは活動拠点があることの喜びを話す。

「拠点なく創作活動を続けるのは大変です。練習や公演をするにも公共施設などを借りる必要があり、移動する手間や施設利用料もばかになりません。練習時間も制限されます。また、私たちが取り組むダンスは音が出るため一般住宅を借りて行うのも非現実的です。今回、改装や音出しができる場所を借りられたことは願ったり叶ったりでした」

入居後、ダンスに欠かせないという耐久性の高いリノリウム床材を敷いたり、スポットライトを設置したりするなどのリノベーションをDIYで行った。その後、そこを拠点として作品作りや稽古に取り組み、2025年1月にはこの場でダンス公演を初開催した。

「観客自身が地下のダンスフロアまで降りるというギミックと、閉鎖的な雰囲気も相俟って観客の想像力がより掻き立てられたのか、作品鑑賞の没入度も高く好評のうちに終了しました。今後もこの拠点を生かした表現を追求した公演を定期的に開催する予定です」と、同じ活動メンバーの中川鈴音(なかがわ・りおん)さんは話す。

赤羽パールマンション Reconu
ダンスカンパニー「Reconu」の小磯さん(写真左)と中川さん(写真右)。入居前は「赤羽の街で私たちの活動が受け入れられるか不安もあったが、それも杞憂で今は楽しい」と語る(写真撮影/片山貴博)
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