
(イラスト:北沢夕芸)
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先日、国立がん研究センターで再発したガンの手術をした。オペは無事に終わったのだが、問題はその後だった。
眠れない。
私は普段、複数の睡眠剤を使っている。だが、胃の一部を削ったため、手術翌日まで水が飲めない。
まいった。今夜は薬が使えんわ。
そこに医師がやってくる。
「傷がまだくっつかないんで、水の再開は2日ほど延期します」
えっ、これから3日、睡眠剤が飲めないの……。
案の定、その夜は一睡もできなかった。
極限状態に起こる脳内現象
目の下にくまをつくったまま、2日目の夜を迎える。
消灯時間、点滴に睡眠剤を入れてもらう。鎮痛剤の投与量も増やしていく。痛みが抜け、意識が朦朧(もうろう)としてくる。
その時、突然、瞼(まぶた)の裏に映像が流れ始めた。
それは、まるで映画館で観るスクリーンのようだった。
闇夜に荒廃した村の風景が広がる。住宅から灯りが漏れる。だが、建物の多くはひどく損壊している。
おそらくドイツの風景だ。映像は、爆撃を受けた地域を彷徨(さまよ)っていく。バックには不協和音のようなマイナー調の音楽が流れる。
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