築41年賃貸を活用「アーティスト活動拠点」の異彩 カオスで楽しい空間が話題の「赤羽異地番街」

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赤羽パールマンション
赤羽異地番街は、赤羽パールマンションの108号倉庫(写真の銀色の扉)を開けた1階と地下フロア、その左隣の部屋の1階と地下フロアなどから構成される(写真撮影/片山 貴博)

「赤羽パールマンションの未活用だった倉庫を工房として活用し、現在、私を含めて3組のクリエイターが活動しています。活動内容は多岐に渡り、1組目が、私ことGakki(がっき、芸名)がディレクターを務める『キンミライガッキ現代支部』という団体です。新しい楽器を製作し、音楽・アート・産業といった分野で活用しています。

2組目がインテリア家具の製作やDJ活動を行う建築家・デザイナーの曾原翔太郎(そはら・しょうたろう)さん。

3組目の2024年に入居した4人組のダンスカンパニー『Reconu(りこにゅー)』はコンテンポラリーダンスを行っています」と、「キンミライガッキ現代支部」というアート団体の代表として創作活動を行いつつ、赤羽異地番街の管理やイベント企画などを行うアートディレクターのGakkiさんは説明する。

赤羽パールマンション Reconu
左から小磯捺未さん、中川鈴音さん、曾原翔太郎さん、Gakkiさん(写真撮影/片山 貴博)

入居者が日常生活を送る賃貸マンションの一角にアーティストの創作拠点があるのは珍しく、その異彩な雰囲気は写真の端々から見て取れるだろう。

「アーティスト・イン・レジデンスといった有名なアーティストをアトリエ付きのレジデンスに招聘(しょうへい)して創作活動を行ってもらうことで地域を活性化する試みは比較的行われているものの、赤羽異地番街のように住人が暮らすマンションの一角に創作拠点を設ける取り組みは全国的に稀有だと思います」(Gakkiさん)

アーティストの支援と築古賃貸マンションの活性化

赤羽異地番街の目指す目的は2つある。1つがアーティストの創作活動支援。そして、もう1つが築古賃貸マンションの活性化である。赤羽パールマンションの管理を請け負い、このプロジェクトをプロデュースしたハウスメイトマネジメントの伊部尚子(いべ・なおこ)さんは振り返る。

「約3年前、赤羽パールマンションのオーナーから『築年数が古くなり空室が増えて困っているが、リフォームに費用をあまりかけられない』という相談を受けて本プロジェクトが始まりました。現地調査したところ、未活用の倉庫があったため、そこを利用できることを特典としてアーティストの入居を募集開始することにしました。

実際の募集に当たっては、コンセプト賃貸を紹介するウェブマガジン『ワクワク賃貸』に協力を依頼しました。

過去に別の物件でアーティストの入居を募集したことがありましたが、そのときは活動中に音が出ることが問題となり、入居をお断りしたアーティストが複数いました。しかし、今回は敷地内に工場もあり、日中はある程度の音が出ても問題ないため、そこを強く訴求して募集したところ入居者が集まりました」

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