御上先生が「考えて」とよく口にする"深い意図" 「答えをすぐに教えない」ことで生徒が得る学び
3月2日放送の第7話でも、椎葉春乃(吉柳咲良)が起こした万引きという問題から、相対的貧困という問題を考えさせるような指導をしていました。ここでも、「考えて」という指導をしています。
さて、この「考えて」という指導の仕方は、「コーチング」と呼ばれています。

通常、学校で行われるような指導の仕方は、問題に対して先生が「答え」を教えるというものです。これは「ティーチング」と呼ばれ、「この問題の答えはこれ」「こういうことが起こったらこう対応しよう」という指導の仕方をする行為を指します。
「答えを教えない」コーチング
それに対して、「コーチング」は答えを教えません。答えを教えるのではなく、自分で答えを出せるように、コミュニケーションを取っていくというものです。御上先生の「考えて」という言葉は、まさに「コーチング」だと言えます。生徒に対して直接答えを言うわけではなく、生徒が自分で答えを出せるようにサポートする行為だと言えます。
このコーチングのいいところは、「先生の答えを押し付けることがない」という点にあります。もちろん、答えが1つに定まるものであれば、答えを教えることは有効です。
科目として、数学は答えが1つに定まることが多いので、「1+1は?」という問いの答えとして、「2」と教えるのは間違っていないでしょう。でも、答えが1つに定まることがない勉強もあります。例えば最近は入試で小論文を課す大学も増えていますが、「どうすれば戦争はなくなると思いますか?」という問いに対して、先生が「こうすれば戦争はなくなるんだ」という答えを持っているわけはないですよね。
高校までの勉強では、テストで○と×を付けることができるような問いばかりを扱います。しかし大学に進学し、社会に出ると、○と×だけでは判断できないような問いがたくさんありますよね。
例えば『御上先生』では、「教科書検定は必要か?」「これからの時代に必要な金融商品とは何か?」「相対的貧困に対して、どのような措置が必要か?」のような、学校の先生であっても絶対の答えを持っているわけではない、現実世界においてもいろんな人が議論を行っているような「難しい問い」がテーマになってきました。
こうした問いに対して、答えが1つに定まると考えるほうがむしろ間違っています。いろんな考え方があり、それぞれの正義があり、その中でどのように答えを出すか、完璧ではないことは知りつつも、しっかりと「自分なりの答え」を出すことが求められるわけです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら