「たった2本の線」で思考がクリアになる方法 マトリクスの活用で仕事の効率が劇的に上がる

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時には、マトリクスで現実を可視化することで相手を驚かせ、対策を練らなくてはいけないという意識を植え付けることも可能です。たとえば上司が部下のAさんに対して下図のような観察結果を示したら、Aさんは「頑張らないとまずい」と思うことでしょう。

チームメンバーの仕事のパフォーマンス評価(『マトリクス思考』より)
チームメンバーの仕事のパフォーマンス評価(『マトリクス思考』より)

ロジカルシンキングが身につく

《副次的効用の観点》

副次的効用の観点では、以下があります。

⑦ 論理思考の能力が鍛えられる

⑧ 創造的思考が鍛えられる

まず⑦の論理思考ですが、論理思考は様々な要素から成り立ちます。たとえば以下のような要素です。

・そもそも何を考えるべきかを正しく設定できる
・MECEを意識して全体を俯瞰的に捉えられる
・重要な点とそうでない点を峻別できる
・物事を適切に分解できる
・物事の関係性を正しく理解できる
・筋道が通っている
・言葉の定義が明確である
・数字を適切に用いている

マトリクスを用いた整理や分析、コミュニケーションは、これらすべてを必要とします。それゆえ、マトリクスを用いることは、論理思考の訓練の機会ともなるのです。

⑧の創造的思考は、特にオリジナルのマトリクスを考えることで鍛えられます。たとえばプロローグで部下をタイプ分けする軸の候補として以下のようなものが挙げられていました。

・業務の定型化度合い
・習熟度
・コミュニケーションの活発さ
・成績

性別や国籍、年齢といった外形的な特性以外に、どのような候補が考えられるでしょうか? 読み進める前に最低6つ考えてみてください。

たとえば以下のような候補がありそうです。

・周りへの配慮度合い
・融通がきく度合い
・対立を厭わない/対立回避的
・リスクテイクの度合い
・感情的な度合い
・自律的に動く度合い
・プライベート重視度合い
・ビジネス知識の豊富さ
・リーダーシップの強さ(経営学ではリーダーシップとは生得の資質ではなく、習得可能なスキルと考えます)

軸の候補だけでももっとありますし、その組み合わせの数はさらに増えます。新たな軸を考案し、それを組み合わせ、その中から使えそうなものを選ぶことは容易ではありません。これを行うためには、創造的思考力を同時並行で高めることが必須なのです。

嶋田 毅 グロービス経営大学院教授、グロービス出版局長

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しまだ つよし / Tsuyoshi Shimada

グロービス経営大学院教員、グロービス出版局長。東京大学理学部卒業、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計160万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」のプロデューサーも務める。著書に『MBA 100の基本』『ビジネスで使える数学の基本が1冊でざっくりわかる本』『KPI大全』(以上東洋経済新報社)、『グロービスMBAミドルマネジメント』(ダイヤモンド社)など。経営戦略、テクノベート・ストラテジー、研究プロジェクトなどの講師を務めるほか、各所で講演なども行っている。

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