Xbox、今更日本でのプロモに力を入れるワケ マイクロソフト幹部が語る「日本重視戦略」
このため、日本でのユーザー交流イベント開催に際しては、北米のMicrosoft Game Studioだけでなく、北欧からもクリエーターを招待し、日本のゲームクリエーター、ユーザーと交流することで、新たな価値創造を目指すといったアプローチも採ったという。
日本のゲーム産業、とりわけクリエーターに対する絶賛の声にやや惑っていると、Tsunoda氏は「これはお世辞で言っているわけではない。日本のファンの情熱やクリエーターのセンス、美しく楽しい世界観は、グローバルで成功するタイトルを生み出していくために極めて重要だ。だからこそ、日本市場とのパートナーシップを継続していかねばならない」と強調した。
Win10を軸にマルチプラットフォーム化を推進
日本のゲームデベロッパーとマイクロソフトとの関係で記憶に新しいのが、マイクロソフトの伝統的な看板タイトルでもある「Age of Empires(AoE)」だ。すでに2年以上前になるが、マイクロソフトがAoEのモバイル版フランチャイズを、日本のモバイルゲームベンダーKLabにライセンスすると発表され、日経新聞の一面を飾るニュースともなった。
iOS、Android向けに看板タイトルがリリースされることが明らかになったためだが、さらに中国へも話題が飛び火。中国最大のゲームパブリッシャーであるQihoo360が中国国内のパブリッシュを担当することとなり期待が高まっている。KLabからのAoEは年内のリリースが見込まれている。
これとは別にゲーム業界では本格的なゲームファン向けタイトルと、モバイルゲームユーザーの間を結びつける動きや、本格ゲームのファンがタイトルに触れる機会をスマートフォン上で提供する動きが強まっている。
たとえば熱狂的なファン層を獲得している“Fallout”というタイトルに、“Fallout Shelter”というスマートフォン用アプリが提供され、ここで遊んだ結果が将来リリースされるFallout続編につながるという仕掛けが用意され、今年のE3で大いに話題になっていた。日本では、モバイルゲームのDeNAとゲーム機業界の巨人である任天堂の提携も話題となった。モバイルのフリーミアムゲームとゲーム機の世界は急速に近づきつつある。
そうした意味では、看板タイトルをモバイルゲームで先行していた日本向けに、2年以上も前からライセンスアウトしていたマイクロソフトには先見の明があったとも言える。最初にコンピュータゲームと触れる機会が、携帯型ゲーム機からスマートフォンへと変化している中、マイクロソフトはどうゲーム機の世界とスマートフォンの世界をつなげていくのか。
「スマートフォンで初めてコンピュータゲームに触れる人が増え、本格ゲーム機の世界へと橋渡しするのが難しくなっていることは確かだ。そこで、我々はWindows 10で、ひとつのゲームを異なる複数の機器で遊べる世界を構築しようとしている。たとえばXbox Oneで遊んでいるゲームの続きを、職場の昼休みにWindows 10パソコンで遊べるという環境だ。さらに同じゲーム世界に対して、ゲーム機で遊べない……たとえばスマートフォンやタブレットから、異なるユーザーインターフェイス、異なる役割で参加するアプリなども考えている。ひとつのゲーム仮想世界に、多様なデバイスからアクセスする。モバイルとゲーム機の世界は遠いと思うかもしれないが、ソーシャルネットワークを通じて、ふたつの世界を融合できると考えている」(Tsunoda氏)。
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