米国株は「目先の下落」を過度に警戒しなくていい 注目セクターは「ハード」から「ソフト」に変化へ

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――一方の日本株について、大川さんは今後の相場をどうみますか。

今年の日本株のキーワードは単純明快で、「上がらないけど下がらない」。これに尽きる。去年の年末からずっとそうですよね。上がるかなと思ったら失速して、かといって調整が入るかと思ったらそこまで下がらない。幅の狭いボックス相場が続いている。

この我慢の時期がまだ続くと思っている。というのも、日本でウエイトの大きい製造業は業績が振るわないところにトランプ関税の話が重なり、さらに不安定化している。次の成長ドライバーもなかなか見当たらない。数少ない中長期的に期待できるセクターを挙げるなら、国策も絡んでいる「防衛」と「銀行」くらいか。

一方、直近でいい兆しとして出てきたのは、実質賃金と消費支出の両方がプラスになったこと。日本は家計から投資に回るお金がまだまだ少ないので、実質賃金が増えても消費に回っていなければダメだが、これがセットでプラスになったのは大きい。少なくとも半年くらい持続すれば、今後小売り系など内需株に恩恵が出てくるだろう。

日本株は「ゲーム」「建設」に注目

――日本市場で「防衛」「銀行」以外に注目のセクターはありますか。

1つは「ゲーム」だ。ここ1カ月ほど、とくに何のネタもない会社まで大きく株価が跳ねている。この領域は単なる外需依存ではなく、日本から魅力を発信して海外の人に認められている数少ない産業。かつてはそれが自動車だったのだろうが、とって代わったのがゲームを含むエンタメだ。

日本株全体で証券アナリストのカバー人数ランキングを出してみると、実は1位がソニーで、2位が任天堂。アナリストは主に、日本市場で売買シェアの大きい海外投資家に勧めるためにレポートを書いているので、そのカバー人数が多いということは、ゲーム株はそれだけ海外投資家から認知されていて、かつ好まれているということだろう。

だからこそベースとなる需要が強く、これといった理由がないときにもいっせいに買いにこられるとバンと株価が上がる傾向がある。任天堂の時価総額は目下ディズニーの半分くらいだが、追いつく可能性も十分にある。

もう1つ注目したいのは「建設」。ここ数カ月、実績・予想EPS(1株当たり利益)が加速度的に上がっている。データセンター建設需要などもあり、大手のゼネコンは前からよかったのだが、業績の悪かった中堅以下の会社からやたらと上方修正が出てきている。

回復の要因は、原材料費などが高騰する中でコストコントロールをしっかりするようになったのが成果に結びついてきたことや、「2024年問題」による残業規制などで大手がさばききれなくなった案件が流れてきていること。こういう内需株がより盛り上がってくると、外需が不安定な中での大きな支えになるのではないか。

撮影・編集:昼間將太
福井 純 「会社四季報オンライン」編集部長

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ふくい・じゅん / Jun Fukui

『会社四季報プロ500』編集長などを経て現職。『株式ウイークリー』編集長兼任。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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