佐々木朗希「妻は普通」アメリカではありえない訳 妻をどう紹介するかで世間からの評価が変わる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

その気持ち、すなわち妻への感謝は、選手たち自身が実際に持っているものであり、嘘はないはずだ。佐々木選手も、会見で、「お互い不安もあるんですけれど、お互い力を合わせて支え合いながらやっていけたらいいかなと思います」と言っていた。

今はまだ心の準備ができていないのかもしれないが、そのうち奥様も表に出てくるべき時が来る。いつまでも隠していると逆に印象が良くない。それに、初めて出てきた時はもちろん注目されるけれど、そこを通り過ぎたらもうアメリカ人は、選手の一般人の妻などにそんなに関心は持っていない(選手の妻あるいは恋人がテイラー・スウィフトなみのスターであれば別問題だが)。緊張するのは一度だけだ。

ヴィンス・ヴォーン、マット・デイモン、クリスチャン・ベール、エディ・レッドメインなど、ハリウッドにも一般女性と結婚したスターはいる。それらの女性たちが授賞式やプレミアなどに、どれほど頻繁に出席するかはそれぞれだが、夫たちは妻について聞かれると、間違いなく褒める。

たとえば、ベールは「僕の妻はプライベートを守りたがっていて、僕もそれを維持したいと思っている。僕たちの私生活はすばらしい。彼女は僕の人生に現れた、最も強い女性だ」と語った。ベールの妻は、かつてウィノナ・ライダーのパーソナルアシスタントをしており、ベールがライダーと映画『若草物語』で共演した時に知り合っている。

日本人男性の感覚だと、「強い女性」というのは褒め言葉なのか、と思うかもしれない。しかし、強い女性を称え、愛することができる男性は、自分に自信があり、心がオープンな男性だとして、アメリカでは世間から評価される。

やはりプライバシーをほとんど語らないヴォーンも、昨年夏、ハリウッドの「ウォーク・オブ・フェーム」に星が刻まれた時には、「僕の美しい妻、ここにいてくれてありがとう。君と僕たちの美しい子供たちがいつも笑いを分かち合ってくれることを感謝します」と、壇上から心を込めた言葉を送っていた。彼の妻は、不動産エージェントをしていたカナダ人女性。ほら、ここでも「美しい妻」なのだ。

本当に「普通」の人であるはずがない

このオフシーズン、佐々木選手以外にもブレイク・スネルなど新たに優れたメンバーを加えたドジャースは、今年も優勝を目指して突っ走ると期待される。

だが、今はまだ開幕前。重要なシーンが起きるポストシーズンは、半年以上先だ。やがて来るかもしれない祝福の場で、佐々木選手が愛する女性が受けるにふさわしい言葉を贈ってくれることを願いたい。彼が選んだ人が、本当にただの「普通の」人であるはずはないのだから。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事