スタバ「市民の反対で出店中断」に見る公園の変容 変化する公園のあり方に我々は適応できるのか?

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MIYASHITA PARKはPark-PFIの事例ではないものの、この制度では事業者が上げた利益の一部は公園内の一帯的な整備に充てることが定められており、公園内に人が集まれば集まるほど、公園の整備も進んでいく。

そうすればさらに公園は広く人々に使われることになり、むしろ開かれた施設になっていく。 青森県むつ市にある代官山公園はPark-PFI制度によって、それまで年間300人ほどだった来園者が1万6000人になったというデータもある。

つまり、官民連携によって公園内に活気が生まれ、結果的に公共的な姿を持つ公園もあるのである。少なくとも財政的に公園運営が厳しく、ほとんど放置状態になっている公園より、民間資本を入れ、公園の運営費をまかなうほうが公園本来のポテンシャルが活かせる。

このようにして、現在の公園は民間の力も借りつつ、徐々に変貌を遂げつつある最中なのだ。 

より一層の丁寧な説明が求められている 

全国的に地方自治体の財政難が進んでいる現在、こうした官民連携の流れはどんどん進んでいくだろう。その際、今回行田市で起こったような、一部市民と行政の間での摩擦はどの自治体でも起こりうることである。 

官民連携というと、どうしても企業利権が公共に食い込んでいく……とイメージされがちである。実際、そのような側面もないわけではないが、連携することによるメリットが大きいのも確かだ。また、今回の事案の場合、「公民館よりスタバのほうが行きやすい」という人も、現実として存在するだろう。

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なお、行田市側は「市民が誇る水城公園に、市民の皆様のみならず、観光で訪れる方々にもご満足いただけるスターバックスの出店に引き続き努力してまいります」として、今後もスターバックスの誘致に向けて動く構えを見せている。

事実、行田市の例を見てもスターバックスに来てほしい、という声は多い。この件を報じたニュースのコメントには「スタバ来てほしかったのにな……」という旨の投稿もかなりある。

また、スタバ出店の再開を求める市民団体には2082人の署名が集まったという。これは反対票の7倍に近い数である。 

反対団体が主張しているような市側の問題は懸念点としてあるものの、スタバ誘致賛成のほうが署名が集まっている事実からは、こうした公園の変化に対して賛同する人のほうが多い状況も見えてくる。

市にしても市民団体にしても、自分たちが関わる地域を悪くしたい、と思っている人はいない。しかしその目的に対する手段をどのように取るのか、そこですれ違いが起こっている。官民連携のプロセスにおいては、そのすれ違いがより顕著に起こるのだろう。

だからこそ、自治体としてはより丁寧な事業の進め方や情報開示、反対派との対話を行う必要がある。行田市に関わるすべての人が納得する騒動の顛末になることを願いたい。

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谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

X:@impro_gashira

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