スタバ「市民の反対で出店中断」に見る公園の変容 変化する公園のあり方に我々は適応できるのか?

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例えば、公園内にカフェを設置する場合、そのカフェは少なくとも20年営業ができるし、これまでよりもカフェの面積を広くとることができるようになったわけだ。

これによって民間事業者にとっては公園への投資を強めようという意識が強くなる。そうして、全国各地にこの制度によって整備された公園が誕生することになった。 

Park-PFIによって企業が公園に出店するメリットは格段に増した。結果、この制度を活用してにぎわいを創出しているところも増えている/ 国土交通省によるPark-PFIの説明資料より 

「公共」機能は損なわれるか? 

ここで、民間企業が公園の運営や管理に携わると「公共」の機能が損なわれてしまうのではないか?という疑念が持ち上がる。

ただ、民間が積極的に公園に介入することで、結果的にその公園に人が集まり、それが街のにぎわいや公共施設として多くの人を受け入れる施設になる「結果的な公共性」が生まれている公園があることも確かだ。

例えば渋谷のMIYASHITA PARK。ここは民間の施設と公園を共に整備できる制度である立体都市公園制度によってリニューアルされ、1~3階は三井不動産によるショッピングモール、屋上はスターバックスを中心に配置した公園となった。

ここでは、リニューアルにあたり前身となる宮下公園のホームレスを追い出す形で開発が進められたことから、公共施設としての公園のあり方について大きな議論が巻き起こった。民間企業の公共施設への介入の悪しき事例として、開業当初の評判は散々だったのだ。

しかし蓋を開けてみれば、いまやMIYASHITA PARKの屋上は若い人が集ってTikTokを撮影する「TikTokの聖地」になっている。それだけでなく芝生に寝っ転がって思い思いに過ごす若年層を中心に、渋谷の中でもきわめて活気に溢れた場所が広がっている。 

ミヤシタパークの写真
青空が気持ちいい、MIYASHITA PARK(筆者撮影)

元々の宮下公園に活気がなかったわけではないが、少なくともリニューアル後もそこを好んで使う人がおり、渋谷という街の活気に貢献しているのは確かである。 

MIYASHITA PARK
海外の公園のような光景が広がるMIYASHITA PARK(筆者撮影)
MIYASHITA PARKの中心にはスタバがある。スタバを毛嫌いする人もいるが、現実としては、賑の創出につながっていると言えそうだ(筆者撮影) 
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