「62歳で見習い修業」元広告マンの驚くリタイア後 66歳のとき、「自宅の6畳を改装」して寿司屋を開業

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僕の“いつか”は定年後になったけど、やりたいことがあってよかったと思います。最初はお寿司。そのときは寿司屋になろうなんて思ってもいなかったけど、習い始めたらおもしろくなった。ピアノはようやく3年前から習い始めて、指が全然動かないんですけど、去年の8月、初めて発表会にも出ました。先生も生徒も全員年下で、おまけに男性は僕1人(笑)」

英語は独学。娘に勧められたスマートフォンの英会話アプリが楽しくてしかたないとか。もっとも英会話の際たる目的は、「若い頃から飲みに通い続けている新宿の思い出横丁で、外国人観光客と会話をしたいから」だそうだ。

寿司屋
組み立て式の作業台やテーブル、重ねて運べるネタケースは自作して初期費用を抑えたという(撮影/大澤誠)

エピソードには必ず酒の話がついてまわる。自身も自覚があり、月に10日の禁酒をしているという。「6の倍数なんです」と説明されて、一瞬、なんのことかわからなかった。

「お医者さんが言うには、3日に1回禁酒するよりは2日続けて禁酒したほうが体にいいそうなんです。だから4日飲んで2日禁酒という6日サイクルで、1カ月に10日禁酒している計算です。6の倍数の日とその前日が禁酒。でも女房の誕生日が6の倍数日だし、どうしても飲まなきゃいけない日にぶつかる場合は、前々日に禁酒します。振替禁酒日というやつで(笑)」

好きなことを全部やっちゃおうぜ

長寿の金言連載
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あっという間に80歳になった。寿司屋稼業に習い事にと、精力的に活動する河野さんだが、「俺、まだ生きられるの?」という自問自答があるという。

「1歳児にとっての1年は人生そのものの長さ。10歳の1年は人生の10分の1でしょ。80歳の僕は人生の80分の1の速さで1年経っちゃうわけだから、どんどん時間が経つのが速く感じます」

「俺、まだ生きられるの?」という自問自答の答えを尋ねると、こう返ってきた。

「だから、好きなことを全部やっちゃおうぜ。お酒控えてどうすんの。やりたいことやって死ねるなら、それでいいじゃないか!」

桜井 美貴子 ライター・編集者

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さくらい みきこ / Mikiko Sakurai

1965年生まれ。秋田県出身。出版社勤務の後、フリーランスの編集・ライターとして独立。医療、カネ、性などさまざまなテーマで取材、執筆を続けている。生活実用をはじめとした書籍の企画編集、人物インタビューなど、硬軟の現場を渡り歩く。

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