「つば九郎」"中の人"死去に多くの人が涙する理由 世界的人気キャラ「ミッキー」とは何が違った?

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くまモンは熊本県の公式キャラクターとして考案されたが、綿密な戦略のもとに運営されている。

キャラクターは細かい設定はされておらず、一定のバッファーがあるため、それが多くの企業や団体での使用を容易にしている。第三者によるキャラクター利用を許可しているが、利用の際のルールはしっかり定めている。

そうした点も功を奏してか、くまモンは広く長く親しまれる存在となっている。

一方のふなっしーは、千葉県船橋市の“非公式”キャラクターだ。“非公式”なだけあって“中の人”のキャラクターが色濃く出ており、それが人気に火をつけたといえるだろう。

一方で、“中の人”の才能と労力に負うところが大きく、それゆえに活動の範囲も限定されてしまった感がある。現在もふなっしーは活動してはいるが、以前のような勢いを維持するには至っていない。しかし、人気の爆発ぶりは、他の“公式”キャラクターを凌ぐほどであった。

運営方針が180度異なっているキャラクターが、いずれも人気を博しているという点は、日本のキャラクター文化の面白いところだと思う。

つば九郎
今年、沖縄・浦添キャンプ敷地内の「つば九郎神社」につば九郎が奉納した絵馬。まず最初に「けんこうだいいち」と書かれていた(画像:ブログ「BUAZAつば九郎ひと言日記」より)

つば九郎を引き継ぐことは容易ではない

つば九郎の話題に戻ろう。

つば九郎は、ヤクルトスワローズの公式キャラクターでありつつ、自由奔放な振る舞いが人気を博した。

スケッチブックにブラックユーモアを交えたひと言を記す“フリップ芸”や、ヘルメットをくるくる回して投げ、手を離した状態で被る“空中くるりんぱ”(これまで成功はなし)などの芸が愛されていた。

これらは“中の人”の才能や個性に負うところは大きかったのだが、球団や所属選手だけでなく、関係各所と協力し合いながら球界を盛り上げてきた。

だからこそ、担当者の死を多くの人が惜しみ、悼んだ。

つば九郎は、担当スタッフの死去に伴い活動休止を表明している。つば九郎の今後について語るのは時期尚早だとは思いつつ、少し考えてみたい。

マルマン
つば九郎がフリップ芸で愛用していたスケッチブックのメーカー・マルマンも公式Xで追悼のメッセージを寄せた(画像:マルマン公式サイトより)
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