「異常にリアル」発売初日100万本突破RPGの中身 ファンタジーではない本当の中世にいる気分が味わえる
リアルであるがゆえに15世紀の品がない世界も楽しめる。村に入ればいきなり酔っ払いが喧嘩を売ってくることもあるし、立ち行かなくなければ暴力で物事を解決しなければならない。浴場で女を買うこともできるし、成り行き上のロマンスもいくつか用意されている。
あるサブクエストでは主人公がひどく酔ってしまうのだが、その際にはゲップをするわ屁をこきながら歩くわで下品すぎてどうしようもない。しかし酔っぱらいのリアルな体験をするのは妙に笑えるし、リアルゆえのむき出しで品のない体験が用意されているのだ。
リアリティを重視した結果、王道ストーリーが輝く
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ここまで『キングダムカム・デリバランス II』がどれほどリアルかを説明したが、本作のストーリーはあくまでフィクションである。
主人公のヘンリーは鍛冶屋の息子なのに貴族から認められ、気づけば立派な騎士になっている。こういった成り上がっていくストーリーは古今東西よく見るフィクションだし、かなり王道の物語とすらいえる。実在の人物も登場するが、その結末は史実と異なるケースもある。
しかし、リアリティにこだわっているがゆえにフィクション部分でも緊張が保たれているのだ。15世紀はだいぶ不衛生で、現代から考えれば驚くほど命が軽い世界だ。正直なところ、希望がない。だからこそ、フィクションとなるストーリー部分の夢のような展開が素晴らしく見える。砂漠でオアシスを見つけたかのように、ヘンリーや仲間たちの活躍を素直に受け止められるのだ。
とにかく死が間近な世界なので、主人公や仲間のピンチはまさしく手に汗握るし、誰かが助けに来てくれたときは本当に驚く。BGMも雰囲気を盛り上げるのに大きく貢献しているだろう。振り返って物語を見てみると王道なのだが、それでも遊んでいるときは雰囲気に飲まれるのである。
『キングダムカム・デリバランス II』はリアルすぎるがゆえにフィクション部分も魅力的に仕上がっている優れたRPGだ。リアルすぎて面倒に感じる部分もあるし、現実が残酷なせいか子供が見えない世界になっている。ストーリーを楽しむには前作から遊んだほうがよいなど懸念点もあるにはあるのだが、稀有で強い魅力を持つ作品であるのは間違いない。
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